農業の未来を創る農高生たち [4] 〜ソーラークッカーのすすめ〜
千葉県立清水高 食品科学科 ソーラークッカー研究班

環境を守り、自然を守り、暮らしやすい地球を作りましょう

千葉県立清水高等学校は、千葉県の北西部にあり、北に利根川 西に江戸川 南側を利根運河に囲まれた野田市にあります。町の中心には「キッコーマン」の本社や工場があり、本校創立90余年の農業系の食品科学科、工業系の機械科・電気科・環境化学科のある専門高校です。 私達食品科学科では、野菜の栽培や、食品の製造、安全・安心な食品、環境について学習しています。

第一回ソーラークッカーグランプリ大会(野田市内ジュニア大会)の記録について発表させていただきます。 これは、昨年の3年生からの引継ぎ事項であり、本年度は第2回大会を目指して活動しています。 よくニュースや新聞で報道されている事柄に、開発途上国の水問題や燃料の問題があります。 不衛生な水を飲んで、5歳未満の子ども達だけでも、毎年51万人もの人が、消化器系の病気で死んでいるようです。 湯を沸かしさえすれば殺菌でき、ある程度良好な水の確保が出来ますが、燃料 の薪が有りません。人々は薪を求めて次々と山の木々を伐採してきました。 そのため、山は荒廃し、土砂崩れが多発して、農地が流失してしまい、貧困な生活に拍車がかかっています。

ネパールの山の様子
ネパールの山の様子

私たちは、この問題をなんとかできないかを考え、ソーラークッカーの利用を考えました。この写真は、担当の先生が 学生時代にボランティアで行った、ネパールの薪とりの様子です。電気もガスも、地域によっては水道も無い村が多くあり、 生活のために人々は毎日山に入り樹木を伐採し燃料にしていたようです。ネパールに限らず、ヒマラヤの山々では国立公園でも王族の管理地でも、まきを求めて、人々は山の木々を切っていきます。

その結果、インドのガンジス川中流地域やバングラデシュでは洪水が多発して地球規模での環境問題になっています。 樹木の伐採は、山の環境を悪化させ、農地を押し流し、町から見える範囲の山はすべて木のないはげ山が広がり、雨季になるとあちこちで 土砂崩れが発生し、環境の悪化は 急加速していたそうです。 これは、インドへ通じる国道だそうですが、雨が降るたびに土砂崩れが起きていたそうです。

そんな話を聞いた私達は、環境の保全のため何かできないかを考えたところ、災害時や非常時にも使え、燃料もいらない ソーラークッカーの利用、普及を進めようと考えました。先生方に相談したところ、校長先生から足利工業大学、中條先生の「ソーラークッカーのすすめ」についての講話を聞く機会が全校生徒に与えられ、私達も普及活動をすすめようと「ソーラークッカー大会」を企画しました。ソーラークッカー大会を行って、現状とクッカーの利用法について、理解してもらう。大会は、先生方と協議をして、平成26年8月9日に行う事としました。また、ルールや審査員の先生方をお願いしました。 この事業を進めるにあたり、産業界からは地元のキッコーマン株式会社官庁からは千葉県教育委員会学校安全保険課 学校からは足利工業大学地域の町内会の皆さん、 そして清水高校の産・官・学・地域が協力して作り上げる大会を 行うことになりました。

まず、ソーラークッカー大会をやるに当たり、大まかな計画をたて、「なぜソーラーか」を全校生徒や地域の方々に説明をしようと 説明会を行い、参加をつのりました。 中学校の科学部や、市内の高校からも参加希望がよせられました。 また、地元商店街のパッケージ屋さんから資材協力・技術協力も頂きました。

クッカーは写真から形をコピーしたものや、傘タイプ・箱タイプとさまざまなものを作り、耐久性と熱効率の良さそうな箱タイプにしました。私達も、クッカー作りをはじめ、あの手この手で、さまざまなタイプを試作してみました。 通りかかる先生からは、「おまえら大丈夫か・・・・ケガすんなよ!・」といわれましたが、電動工具を持ち込んで頑張りました。

当初、ソーラークッカー大会は夏休み中の、8月9日 予備日として10日の二日間を計画していましたが、 なんと台風11号が接近、太陽が顔を出すどころか、危険と判断されてやむなく中止になってしまいました。 しかし参加予定者から「なんとか延期でも開催できないか」と言う声が上がり、先生方や審査員の方々と相談、職員会議のうえ、9月6日に延期が決定されました。 先生方もご苦労されたことと思います。

OBハイテククッカー - ソーラークッカー
①OBハイテククッカー

中学生の傘タイプ - ソーラークッカー
②中学生の傘タイプ

反射板自作 - ソーラークッカー
③反射板自作

傘とくす玉で - ソーラークッカー
④傘とくす玉で

タトパニ - ソーラークッカー
⑤タトパニ

テレビ局の取材中
テレビ局の取材中

大会当日は、光を求めて、各チーム思い思いの場所に陣取りスタート。 クッカーの大きさ、タイプも様々です。 私達は、地元のケーブルテレビのクルーにインタビューされました。また、毎日新聞松戸通信部の方の取材もありました。 各チーム夏休みをじっくり使って思考をこらしたクッカーを制作していました。 ①はOB参加の集光型ハイテククッカー、②は中学生チームのパラソル型です。 ③反射板や、保温箱を手作りしたチームや、④くす玉と傘利用のチームもありました。 私達のクッカーは⑤の箱形、反射板と保温箱を使った、その名も「小さな玉手箱タトパニ」約30cm程の箱です。 見た目は人工衛星みたいだな・・と言われてしまいました。ちなみにタトパニとは、ネパール語でお湯の事です。審査の間、私達はクッカーについてプレゼンテーションをしました。集まった地域の方々にクッカーの大切さを伝えたところ、クッカーの作り方や使い方を、教えて欲しいという要望が多数出てきたのには私たちもやり甲斐を感じました。90分間の加熱時間の後、審査発表を待つソワソワわくわくの時間です。この時点では各チーム成績が知らされておらず、 期待と緊張の時間でした。 スタート時30℃だった200mlの水が90分間で最高92℃を越え、参考データながら100分後に沸騰したチームがありました。私達のクッカーは、残念ながら3位でしたが、天気の具合による温度低下が比較的少ないと評価されました。 水温上昇は、集光型のパラボラタイプが優秀ですが、風による温度低下がありました。 40分と70分前後の温度低下は 厚い雲に覆われたためと思います。 最後の20分では、クッカーの性能の差が出たようです。

この大会の様子を「イオンエコワングランプリ」に応募したところ、1次審査 書類審査合格 2次審査の(首都圏大会)では 最優秀賞 そして、全国大会である最終審査では奨励賞を頂きました。 これからもソーラークッカーの利用の普及、クッカーの性能の研究、製作技術の改善の研究を進めていきます。 また、この活動が地域密着型の、貢献活動であるということで、地元のTVで生放送されました。またキッコーマンの食文化国際フォーラムに招待され、講演を行ったところ、ガーナ共和国大使館の方に「是非クッカーの協力をしてほしい」と協力依頼までが舞い込んできました。

ガーナの方と
ガーナの方と

まとめと考察。

ソーラークッカーの利用について、市民の方々より評価され、町内会でも講習会を・・・と依頼があった。 また、市内の中学生や高等学校の皆さんと交流ができ、ソーラークッカーで湯を沸かす事の意義が理解された。 ガーナ共和国との交流の接点ができた事で、私達の目的でもある、海外貢献が進みそうである。 最後に。プレゼンテーションの冒頭にお見せした、ネパールでは、未曾有の災害が発生しました。大震災の被害に遭われた方に深くお見舞い申し上げると共に一刻も早く、笑顔のある生活が戻るようにお祈りしています。 地域の方から出た、クッカーの作り方、その利用法についての講座を行って、これからも地域と連携し、また地球環境の保全、農地の保全、貧困地域での衛生的な生活の補助として、そして、災害時には非常用のコンロとして役立たせるように平成27年度も、8月8日(土)に第二回大会を行いました。本年度は、野田市内はもとより、流山市や遠く千葉市内からも参加があり、ソーラークッカーの輪が広がりつつあります。興味のある方はぜひ次回大会に参加・遊びに来てください。

交流


農業の未来を創る農高生たち [1] 〜僕は行きます!〜 文 : 千葉県立清水高 片山晃熙

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農業の未来を創る農高生たち [3] 〜もったい世の中〜 文 : 千葉県立清水高 宍倉由貴

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農業の未来を創る農高生たち [6] 〜自分から始めよう〜 文 : 千葉県立清水高 徳永美登里

農業の未来を創る農高生たち [7] 〜私たちの食生活について〜 文 : 千葉県立清水高 張替夏海

農業の未来を創る農高生たち [8] 〜環境破壊について考える・・私がこれからやっていくこと〜 文 : 千葉県立清水高 徳永美登里

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