English / 日本語

Facebookのアイコン

youtubeのアイコン

sitemap

ナリヤラン畑 西表島

沖縄本島から南西へ300km、日本でありながら台北よりも南に位置する西表島。 島の約90%が亜熱帯のジャングルで、イリオモテヤマネコを始めとする希少な動植物が住むことで有名な島です。 その島に、カトレアのような花を咲かせる「ナリヤラン」という野生ランがあります。 ランを探すという目的こそあれど、本当のところはその過程の命がけの冒険を楽しんでいた私たちにとって、当時の西表島はまだ交通の便も悪く、訪れる人もほとんどいないため、手つかずの自然が残る魅力的な島でした。

1981年3月、西表島の港についた西尾君と私と南条君の3人は、川上に広がるマングローブの林を眺めながら橋を渡り、集落の奥にあるサトウキビ畑を抜けると、狭いくねくね道を密林の中へと進みました。 この道はまだ造成して間もない様子で、工事のためブルドーザーで掘削されてむき出しになった赤土の地面には、コシダや芽生えたばかりのギンネムと共に、ナリヤランやコウトウシランがたくさん生えていて、中には開花しているものもちらほら見られました。

それから10日後、かれこれ一週間以上テント生活をしながらジャングルの中を歩きまわり体中ドロドロべたべたの私たちは、入浴と洗濯をかねて上原の集落にあるユースホステルみどり荘に泊まることにしました。 古見でバスに乗り、みどり荘に到着したのはまだ1時過ぎです。 夕飯まで時間があるため、私たちは宿の庭先に荷物を置き、近くを軽く散策してみることにしました。 大通りから少し入ったパイナップル畑の中を歩いていると、道脇の草むらの中にナリヤランがぽつぽつと生えていました。 お、こんな人家に近いところにも生えてるんだなと思いながら、数百メートル進むと、やがて、辺り一面ナリヤラン。 右の草むらにナリヤラン、左の土手にもナリヤラン、そこはまるでナリヤラン畑!見える範囲、パイナップル畑と後ろに茂る木々の間にある草むらは、どこもナリヤランの株で埋め尽くされていると言ってもいいくらいです。 その数は数千株、立ち数にして数万本。まるでススキ原のごとくに生えていて、そのすさまじい量に私たちはとても驚いてしまいました。 まさかこんなにも人家に近い場所、しかも畑の脇にこんなにもたくさんのナリヤランが自生しているとは考えもしていませんでした。

状況から推測すると、もともとそこに生えていたものに加え、耕作する際に農機具等でバラバラにされたり引き抜かれたりして畑の周りに追いやられたものや、人の手が加わることで生育に適した環境が整ったためそこで大繁殖したもの等が合わさり、結果として大群生になったと考えられます。

最近になり聞いた話では、その後このあたりのナリヤランはかなり減少し、残念なことに昔のように大群生する姿は見ることは出来ないそうです。

ナリヤラン:沖縄県八重山諸島より南に分布する、夏に、一見カトレアを思わせるような桃紫色の花を咲かせる地生ラン。 和名は西表島の内離島の旧村名「成屋」に由来すると言われています。私が見た範囲では、山奥よりも、林道添いや畑の脇など、日当たりのよい草むらなど人の手が加わった場所で多く見られました。


イラスト:M.Tajima

コラム筆者:山本裕之

「野生のランに魅せられて」へ戻る

「自然人のコラム」へ戻る

ホームへ戻る