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ハブに飛びつかれた瞬間 文:山田清隆

あの時のことはまだ昨日のことのようにハッキリと覚えていて、生涯脳裏から消えることはありません。

ハブに飛びつかれた

奄美大島に着いて10日が過ぎた頃のことです。 南国特有の大きなシダが生い茂る瀬戸内町のジャングルの中を、アマミエビネを探して一日中歩きまわった帰り道。 ハッハッハッヘッハッハ…と、息を切らせて、急な土手を上っている時のことです。 もう間もなくで林道の広場に着くという時、「ギャアアアアアーーッ!ハブだーーー!!!」前を歩く山本君が大声をあげたと同時に、崖に近いような急斜面をゴロンゴロンゴロンと転がってきて、そのまま5~6m後方にいた私よりもさらに後ろに転がり落ちていきました。 前を歩く彼が大声をあげながら急に崩れ落ちると同時に、わずかに生える草の中から、大口を開けたハブが彼の左足めがけて飛び出してくる一部始終を私は見ていました。 大口を開けて飛びついてきたそのハブの毒牙があとわずかで彼の足へと命中するかと思ったその時です。 自分が手に持っていた用心棒でそのハブを避けたのです。 その棒を使ってハブの飛びつく頭の角度が変わり、命中せずわずかに左側にずれたのです。 同時にドテンドテンゴロンゴロンドテンゴロンと彼の体は何回転もしながら土手崖を転げ落ちたのでした。 そのハブはスルッと素早いスピードで何度も転げ落ちる彼に向って飛びついたのち、恐怖のあまり身動きできずたじろぐこともできずにただ茫然と立っていた私の前まで、すべり落ちるようなスピードで何回も大口を開けて飛びつきながら来ました。 目前にまでせまったハブを飛び越えようと思った瞬間です。 ハブもよほど怖かったのでしょう。それまで斜面を何度も飛びつきながら下へすべり降りて来たハブが右へと進路を変え斜面を登り、藪の中へと逃げていったのでした。

真っ黒な体に不気味なだんだら模様。黄色く大きな口を開け、鋭い牙をむき出しにしたハブが飛びついて私たちに襲い掛かってきたことは今でも少し前の事のように覚えています。 過去に経験がないくらいのこの恐怖は生涯忘れることはないと思います。


イラスト:M.Tajima

コラム筆者:山田清隆

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