English / 日本語

Facebookのアイコン

youtubeのアイコン

sitemap

アワチドリ ~ はじめて見つけた瞬間 ~

今から40年近く前、私が十代の頃の話です。

私の住んでいる千葉県にはアワチドリという名前の極めて希少なランがあるという話をきかされました。私はそれまでアワチドリが千葉県固有のランとは知らず各地にあるウチョウランと同じものだと思っていたため、わざわざ探しに行く事もしなかったのです。そのときの話では、そのランは千葉県房総半島南部のごく限られた地域にのみ見られる固有種で、花のほとんどは淡い紅紫色だが、ごくまれに白花や赤花もあるのだというのです。かつては山奥を流れる渓流沿いの急斜面にごくまれに自生していたが、すでにそのほとんどが採り尽くされて、探しに行っても絶対にみつからないという事でした。そして熱くなっている私に、どこに自生していたのかは最後まで教えてくれることはなかったのです。

しかし、これを聞いた私はすでにやる気満々で、その直後には明日学校を休みにしてアワチドリとやらを探しに行くと決めていたのです。

翌日、早朝 目的地を清澄山の四方木に定め、前後には若葉マークを貼り付け無舗装のくねくねした山道をスバルサンバー(軽トラック)に乗り軽快に走る私がいました。掘抜きの長いトンネルを2つ3つくぐり抜け2時間30分で目的地の四方木集落へ到着すると、昨日のうちに地図上であらかじめあたりをつけておいた谷底にある渓流へと直行しました。この時の私は、

!!!アワチドリ、今日絶対みつけてやる!!!

という強い思いから、木々の小枝や草につかまりながら水が滴りびしょびしょに濡れた急斜面を何度もすべりおちながらしがみつくようにして何十回も上り下りを繰り返しました。

その結果、手足は傷だらけ、着ている物もベタベタドロドロ。それでもめげずに夕方になるまで探し続けましたが、アワチドリは1本も見つかりません。日は西へかたむき辺りが薄暗くなり始める頃、大きな岩が川の浅瀬を塞ぐように転がり、川の両岸も切り立った岩場のため、もうこれ以上先へ進む事はできなくなり、今日はもうダメか?とほぼ100%諦めました。そして帰る前にと、川を塞いでいる大岩めがけて男子特有のあれをしているその時です。私の目の前、1メートルにある大岩の草の中に苔とともにしがみつくように自生する小さなラン(おそらくたぶんいや絶対にアワチドリ)の姿をみつけたのです。薄暗い中、無我夢中で周囲を探しまわると、その大岩だけでなく近くの崖にもたくさんのアワチドリの姿がありました。こうして念願のアワチドリを見つけることができたのでした。その後、梅雨晴れの日にはバイクを飛ばし、そして雨の日には例の軽トラックで自宅から約80kmの距離を純白やピンク色、紫色等、綺麗な花色の個体を探し求めて毎日のように通い続けたことは言うまでもありません。

今日は2015年6月27日、来週中に山へ行こうと思っています。 もし見つける事ができれば自生写真を掲載します。見つからない場合は昔(約40年前)の写真を掲載します・・・

と思ったのですが小川先生が今日アワチドリの自生の様子を写真に撮ってきてくれました ! ピンボケ写真ですが(笑)、その様子をどうぞ

アワチドリヲサガセ 2015年6月27日

<後日談>最近、私が初めてアワチドリを発見した場所の写真を見つけたので掲載します。

40年前、私が初めてアワチドリを見つけた場所です。(写真は2013年)


コラム筆者:山本裕之

「野生のランに魅せられて」へ戻る

「自然人の語り」へ戻る

ホームへ戻る