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私のハブ捕りものがたり [3]

私の卒業旅行として遂行した40日間にもおよぶ野生ランの探索も終わりに近づいた3月末頃、 沖縄から奄美大島へと向かう船中で、肩から胴乱を下げている研究者と思われる3人グループに会いました。そこでの会話の中で、私たちは野生ランが専門であることを告げると、彼らの口からは、自分たちは数日前に徳之島の犬たぶ岳に行った時、エビネがたくさん開花していたという話をしてくれました。これを聞いて、次の目的地は奄美大島、名瀬と決めていた私たちは急遽予定を変更して徳之島で下船し、それを見に行くことにしました。 島へ着いたその日はかなり寒かったため、ハブも活動をしないであろうという私の判断で、当たり前のコースでは面白くないため、思い切って山の南側から尾根づたいに道のない山中を薮こぎして、海抜約400メートル強の犬たぶ岳の山頂を目指すことにしました。 池(ダム?)のわきを通り山の麓まで来ると、40センチ以上に花茎を伸ばし、紅褐色で大きめの花を咲かせた10本立ちくらいのトクノシマエビネの姿が見えました。

トクノシマエビネの自生の様子

昔、道だったのか?それとも町の境界であるのか、明らかに人が造った山中にある溝を通り、薮をかき分けながら奥へ進み山頂を目指すと、やがて勾配は緩やかになり、苔むした大石があちらこちらに転がる場所へ出ました。山奥で道がないため、正確には分かりませんが、おそらく犬たぶ岳山頂から南へ500メートルくらいの所だと思います。苔むした石やシダ類の葉のかげには、転々と咲くトクノシマエビネの姿が見える中、先頭を歩く私の足元の少し先、1メートル前後の草かげに他とは違う何か?異様なものの気配を感じました。その瞬間、私はそれが何だかを理解できました。

「ハブだ!」

大声を発したのと同時に後ろに飛び跳ねるようにして下がり、手に持っていた用心棒でそっとシダの葉をかき分けてみると、そこにはとてつもないくらい大きなトグロを巻くうす茶色の巨大なハブの姿がありました。(直径40センチを超える巨大なトグロをまくハブ) 持っていた用心棒を近づけたその時です。まるで口裂け女のように20センチを超える大口を開け、用心棒に噛み付きました。

そこには、私の太ももでさえも貫通させてしまう程の、鋭く長い牙が見えました。私はすかさず用心棒で三角の大きな頭を押さえつけ、その首根っこをギュッと握りしめると、毒牙からはしたたるようにたくさんの毒液が流れ出ていました。 これをビニール袋に押し込んで用心棒の先にくくり付け、しばらく歩くとようやく山頂が見え、その先にある山道を下り、軽貨物を使い町まで戻りました。

私の握りこぶしと同じくらいの大きさの頭の大ハブ

近くの駐車場でビニール袋を開けたとき、それを見た土地の人は「こんなにデカイ奴は滅多にいない。おそらく今年捕れたハブで一番大きいだろう。これはウサギも飲み込むほどの大きさだ」と話し、それを入れるための大きな瓶も用意してくれました。 その後、計測したところ、長さ182センチ、重さは2kgを超えていました。土地の人の言う通り、この年の最高記録に残る程の大物だったと思われます。 打たれなくてよかった。

私のハブ捕りものがたり [4]


コラム筆者:山本裕之

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