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私が覗いた下甑島 1983年8月 文:小川豊明

農大野生蘭研究会に入って初めての夏、それまでに三宅島や千葉の鋸山、清澄山と蘭があると聞くと授業そっちのけで出かけていったヒッツキ虫の私。先輩方が甑島と屋久島に行く算段を聞きつけ、いてもたってもいられなくなり、同行させて頂く事になりました。当時会長の那須先輩N氏、4年生で卒論調査のために屋久島に行く松永先輩M氏、3年生の酒井先輩S氏、桜井先輩SA氏それと私の5人の撮影&調査旅行となりました。

写真に残る日付から、8月8日の出発だったと思います。東京を新幹線で発ち、大阪へそして南港から夜行のフェリーで瀬戸内海を渡り愛媛県今治へ、早朝今治で、N先輩の親戚の方より乗用車をお借りしてN氏のご実家、愛媛県野村町へ向かいました。のどかな農村地帯を抜けると、桜三里の峠越え、どんどん山の中へ進んでいくと、切り立った岩肌の有るダムサイドにたどり着き、N氏のご実家野村町です。そこには30坪ほどのハウスがあり、地元や各地産のエビネがたくさん栽培されていました。これぞマニアという感じでした。夏咲エビネの鑑賞をさせて頂いた後、九州へと出発です。八幡浜よりフェリーで大分県臼杵へ渡り、いよいよ九州。阿蘇山越え、熊本からは東シナ海を見ながら鹿児島県川内市へ、甑島に行きたいが、船の時間が合わず港でキャンプ。

翌日午前の各島回りの旧捕鯨船「鯨波丸」で、下甑島鹿島港で下船、そこから周りの山林を見ながら長浜集落を目指し、歩き出しました。それが思わず誤算で、地図上ではたいした距離ではないのですが、実際はとんでもないアップダウンで狭い一本道。家など一軒もなくかんかん照りの強行軍!私はビロビロに伸びてしまいました。水もなくトボトボと歩いていると、救世主です山仕事帰りのおっちゃんが軽トラックの荷台に私達を乗せてくれ、尾岳の麓までいってくれました。本当にありがたく思いました。地図では近くに水源地がある様なので、そこまで行きキャンプを張る事にしました。そこはとてつもなく高い崖の直下で、横には砂防ダム、水には困らなそうですがちょっと怖い感じの場所でした。当たりです!その夜大雷が島を襲い、ダムからは濁流が鉄砲水のように流れだし、崖下に張ったテントが流されはしないか、岩に落雷がないかとビクビクしながら一夜を過ごしたのを記憶しています。

翌朝、辺りを見回すとあったはずのナベ・アルミの食器・コンロなどすべてが流され、よく生きていたなと思いました。谷川を降りていくとあちらこちらに残骸が!!残骸を拾い集めて何とかキャンプセットは取り戻しましたが、N氏の「オーイ」の声、見ると夢にまで見たサツマチドリを持ってきました。しかもきれいな開花中の大株でした。白地に小さな濃い紫色のポチポチ、初めて見るサツマチドリでした。その後あたりを散策してみると、段々畑状の斜面、以前は畑?に草に混じってたくさんのチドリが自生していました。ウチョウランの仲間は崖にあるものと思っていましたが、ここでは草むらにありました。それもカノコユリやススキに混じってきれいな花を付けていました。感動です。私達は尾岳を大きく迂回して次の目的地下甑島長浜へ向かい行進。途中掘削中のトンネルを通らせてもらい、ショートカットです。しかし、村の民宿「長浜荘」に入ろうとしたところ満室ですの悲しいお知らせ。電話をかけまくって何とか島の反対側、瀬々野浦集落の民宿がとれ、また長い長い道のりを歩いて行きました。後から知ったのですが、このルートにはバスがあり、45分程で移動できたようですが、歩いて峠越えをすると3時間ほどかかる道のりでした。若さゆえできた事ですね。その後爆睡。

瀬々野浦の民宿で、庭にたくさんのオナガエビネが咲いていたので写真を撮っていると、「そんなの撮らないで、山に行ってみなさい」と言われ、女将さんの言う山へ行ってみると、踏まないで歩けないくらいのオナガエビネがまさに花盛りでした。その大きい事。また感動ものです。

山の細道沿いには、キエビネと思われる春咲きタイプのエビネや、カンラン、ナギランが生えていて、花時期に来たら楽しそうな森でした。またたいして大きくない木にセッコクがたくさん着いていて、種をぶら下げていました。そして道路脇の側溝にミヤマムギランが着生していたのに又驚きました。

8月12日私達は内川内という廃村?でテントを張りました。その晩はとても暑く、なぜかテントの周りがさわがしいような、人の気配を感じて眠れなく、朝になるのを待ったのを覚えています。そうです、お盆だったのです。朝になって周りをよく見ると草むらの中に墓地が見え隠れしていました。おじゃまさまだったのでしょう。 長かった甑島もこれで終わり。明日からは屋久島に向かいます。屋久島については又の機会に紹介しましょう。


初めての三宅島83年 文:小川豊明

ヘツカラン探索記1985年 文:小川豊明

コラム筆者:小川豊明

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