溢れんばかりのベニカヤラン、三重県 蓮(はちす)

岡本君、関君とそして私と西尾君を乗せたキャラバン号は東京を出発。 三重県津市にある柴田君の家に寄り、彼の案内で津市周辺を散策した後、奈良和歌山方面へ行く途中のことです。 柴田くんの家を出発したキャラバン号は和牛で有名な松坂市の国道脇にあるムカデランの自生地として有名な不動院を見学。

不動院の様子

道路脇の池の向こう側にそびえる岩にはたくさんのムカデランが着生していました。

自生するムカデラン

その後、大台方面、宮川等、イワチドリを探す目的で川沿いの崖を散策し、櫛田川中流の蓮というところについたのは日がどっぷり暮れた夜8時頃です。 林道脇に車を止めて夕食を作る私たちの車の横を大型のダンプカーがブンブンと走り抜けます。 ずっと下の方に見える橋の上に数台のトラックを止め、皆して何かをやっているようです。 柴田君が言うにはここはダムの建設予定地であり、まもなくその辺りはダムの底に沈んでしまうため、その前にと庭石として使えそうな立派な石を採りにきているそうです。 夜中中ひっきりなしに大きな石を積んだトラックが寝ている私たちの脇を一晩中行き来していました。

翌朝、車を止めた広場から数百メートル歩いたところで、柴田君が指さす林道脇のモミの木を見上げるとそこにはものすごい量のベニカヤランが・・・。その数なんと数千本。 太い幹の中ほどから枝の先までびっしりとぶら下がるようにして着生していたのです。

私はベニカヤランをあちこちで度々目にしてきましたが、一本の木にこれほど大量のベニカヤランがついているのを見るのは初めてです。 しばらくの間、その光景を仲間たちと眺めていました。

一行は再びイワチドリを探すため昨夜来た道を通り、その地を去りました。 最近になり柴田君から聞いた話では、ダム工事の際、この木は伐採され、辺りに点々と着生していたベニカヤランも全てダムの底へと沈んでしまったということです。


コラム筆者:山本裕之

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