English / 日本語

Facebookのアイコン

youtubeのアイコン

sitemap

ウチョウランが枯れる ~原因が病害虫以外の場合~

はじめに

近年ウチョウラン(アワチドリ他も含む)が枯れてしまうんだけど農薬は何を使えばいいの?と聞かれることがよくあります。 詳しく聞いてみると枯れてしまう原因が病気や害虫によるものではなく近年の気象変化(高温・日照不足・強風など)に起因する場合がほとんどです。
しかし多くは単独ではなく複数のことがらが重なって起きているため、その原因を特定することは簡単ではありません。 しかし、枯れる理由やメカニズムを知ることができればその後の被害を防ぐことも可能になるはずです。 ここでは、各人が自分自身で原因をある程度のところまで絞り込めるように、枯れる部位や枯れ方(症状)またその時期などについて解説します。 なお障害と対処方法については、「近年に多い障害と対策」で解説しています。そちらも参考にしてください。
 春の出芽後、軟弱だった茎葉は生長しながら徐々に硬さを増し、花が咲き上がる夏期には丈夫になります。 また、この頃には根の伸長も緩やかになるため、生長期ほど多くの水分を必要とせず、かなりの乾燥、高温他、厳しい条件にも耐えられるようになります。
 これは充分な水分が得られる梅雨時に開花し、真夏には厳しい暑さと乾燥に耐えながら崖にへばり付き生きる自生の姿と重なります。

熱風による脱水

 茎が軟弱なうちに高温に伴う熱風にさらされてしまうと、葉からの蒸散に対して根からの吸水が追いつかなくなり、数時間のうちに茎の下方にくびれを生じ、その部分から倒れてしまうことがあります。 この場合、倒伏後しばらくの間は根の状態が良いのですが、その後の回復は望めません。花では唇弁基部が傷み、しおれを生じることがあります。

脱水による茎のくびれ

発生時期  :芽出しから茎が硬化する前の5〜6月の高温期
発生部位  :茎、第一葉よりも下部、多くはハカマ部分より少し上 花(唇弁)
発生する環境:風が通り抜ける明るい作場

根を傷めたことで起こる立枯症

 鉢内の温度が高温になる、あるいは高温時に高濃度の施肥など、または老廃物(人にたとえるとウンチのようなもの)の蓄積などが原因で根が傷む、とかなりの日数(20〜30日)が経過した後に枯れる。原因から結果まではかなりの時間差があるためわかりにくい。
 はじめ茎の最下部に生じた枯れはしだいに上へと進み、立った状態のまま枯れ最後は地ぎわから倒れる。

Cymbidium goeringii 根を傷めたことによる立枯症

Cymbidium goeringii 根痛みによる立ち枯れ

特に根が活発に伸長する5〜6月の高温には注意。また、高濃度の肥料を施さないように注意する。

倒れる時期 :主に夏(7〜8月)
発生部位  :茎の最下部(地中から)
発生する環境:ハウスまたは屋根のある施設で多く、雨があたる屋外での自然栽培では発生は少ない。
対処方法  :直射日光が長時間あたり、鉢内の温度が極度の高温にならないように、また室内では外出時の室内の温度に注意

高濃度あるいは高温時の施肥にも要注意

植え土が熱せられて起きる茎のやけど

 高温期(時)植え土に強光が長時間あたり、熱された用土に接する茎の下部がやけどをする。近年の高温化に伴って起きる現象。 葉が焼けただれる等、別の部分にも被害が出るのが普通。 被害箇所はくびれて褐色になり、やがて倒伏する。

Cymbidium goeringii 茎のやけど

Cymbidium goeringii 高温で起きた葉やけ

表土に黒色の化粧土を使用する場合は特に注意が必要。

発生時期  :7〜8月の激温日
発生部位  :用土と茎が接する部分
発生する環境:強光が長時間あたる場所

根の呼吸が妨げられることで起こると考えられる離層からの分離

 花後、水のやりすぎ等で鉢内の水分が過剰にあり長時間乾かず、根に空気が入らない状態が続くと、根と茎の境目にある離層(正常な状態では秋〜冬、葉が役目を終えた後に分離する)部分からもぎ取れるように分離してしまうことがある。  屋根がある作場で起こりやすく、降雨による過湿が続いても起きないことから考えると、単に水分の過剰だけでなく、他の要因が重なって起きる可能性もあると考えられる。  晩秋まで保持する葉を通常よりも早い時期に無くしてしまうため、新球根の充実の度合は低く、翌年発芽しない、あるいは芽が出ても立派な株にならないことが考えられる。

発生時期  :7〜9月
発生する部位:根と茎のさかい(離層部分)
発生する環境:屋根等があり、雨のかからない場所

その他

注 上記以外に株元から倒れる原因に灰色カビ病(ボトリチス)があります。 特に思いあたることが無いのに、株元(茎)がくびれるようにして倒れる病気として灰色カビ病(ボトリチス)があります。湿気が多く空気が滞る、更に周囲には他の多くの植物もある(栽培している)、このような場所では茎の下方にあるハカマ部分が役目を終え褐色に変わると、数日のうちにバタバタと倒れてしまう灰色カビ病(ボトリチス)があります。

これについては病害虫の防除をご覧ください。 

また、こちらも参考にしてください。 → 近年に多い障害と対策

春になっても芽が出てこない

大きく分けて2つの原因があります。

1、 前年の夏期に原因がある場合
 春になっても芽が出てこないので、土を掘ってみたら球根が無かった。または乾燥した脱け殻のような球根が見つかった、あるいは弱々しい芽は出たけれどその後枯れてしまった。など  これらはいずれも前年の夏の管理が良くなかったための障害で、春になっても芽が出ない原因のほとんどがこれにあたります。  開花の頃から作り始めた新しい球根は夏の間生長を続け、寒くなる頃にはしっかりと充実します。同じ頃、役割を終えた茎葉は黄変し、やがて地ぎわにある離層部分から切り離れるのが普通です。しかし冬になっても茎葉が枯れずに緑色のままいつまでも残っている、逆に夏のうちに枯れてしまったなど、このような場合には新球根ができていない可能性があります。  高温、日照不足、肥料過多、水のやりすぎなどが原因として考えられます。

2、 冬の管理に原因がある場合
 春(3〜4月)になっても芽が出ないので掘ってみたら、溶けるように腐ってぬるっとした球根があった。 あるいは球根はしっかりしていたが芽が出なかった。など、このような場合は冬期に何らかの障害があったものと考えられます。  以前から栽培し植え替えをしない鉢では、遺伝的に弱い個体を除き、雨などがかかり植え土がカチンカチンに凍ることがなければ、凍結が原因で球根が枯死してしまうことはありません。一方これに対し、冬期に植え替え等、人がいじりまわした場合、球根の耐寒性は低下し、少々の凍結で生長点が傷み、芽が出ないあるいは球根自体の凍結により後に腐敗することがあります。

凍害により腐った球根

 このため植え替えをする場合は、凍る時期の掘り上げはせず、春まで待って行うか、早期に掘り上げる場合は凍らない場所で保管するとともに植え付け後も凍らせないように注意することが必要です。

 球根から芽が出ない他の原因としては、掘り取りあるいは植え付け作業時の芽の損傷、害虫による生長点の食害などがあります。

球根の食害


ホームへ戻る