春蘭の栽培

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春蘭の性質

春蘭は、自然の中では雑木林等の比較的風通しの良い明るい林床でたくさんの花を付け、立派に成長した大株が自生しています。自生地の株では、地表近くの浅いところに、太くて長い根を数年かけて伸長させてはりめぐらせます。 このため、地生種ではあるものの、他の多くの地生ランと比べてむしろ着生種に近い性質を有し、根部は多くの空気と同時に適度の湿り気を好み、過湿を嫌います。

春蘭
春蘭

湿気と多量の空気が同時にあると根は鉢からはみ出して旺盛に成長する。

気象変化にともない、育て方にも変化が

近年の気象変化にともない、多くの鉢植えの植物が、従来からの栽培方法では上手に育てることが難しくなっています。このため、栽培経験の長いベテランでも、今まではよく育っていた植物がうまく育てられなくなった、あるいは枯らしてしまうというようなことが多く見受けられます。 鉢植えの場合、主な原因は、限度を超えた高温により鉢内の温度が上昇し、その結果根傷みを起こし、生育が悪化してしまうことです。植物は、通常の気温ではよほどの悪条件にさらされない限り幅広い適応能力を持っていますが、夏期に限らずその季節において限度を超えた高温にみまわれると、その他の事柄においても、適応できる範囲が狭まります。春蘭も例外ではなく、従来からの東洋蘭的な育て方では上手に育てるのが難しくなっています。

現在上手に育っている方は同様の方法で栽培を続けるのが一番で、変える必要はありません。昔は上手に育てられていたのに、最近はあまりうまく育てられていないという方は、使用する鉢や用土、水のやり方、肥料、置き場所の環境その他の事柄において従来とは考え方を変える必要があります。

蘭裕園の春蘭の栽培ページでは、近年の気象変化を踏まえた上で、一般の花好きが室内でも庭植えでも簡単に育てられるように丈夫に改良したスタイリッシュ東洋蘭(春蘭)の育て方を記します。

春蘭
春蘭

日本的な鑑賞を目的とした専用の鉢がたくさん市販されていますが、栽培するにあたり、形状および材質は特に問わないため、好みの鉢が使用できます。ただし、鉢穴が小さすぎるものは鉢内が乾きにくいため、さけたほうが無難です。鉢内に空気が多く入り、長期間の過湿がさけられるものならば問題はありません。このため、鉢の種類よりも根のボリュームに見合った大きさを選ぶほうが大切です。根が鉢内にいっぱいになることで開花しやすい性質があるため、初心者は小さ目のサイズの使用をおすすめします。一般に市販されている株の根の状態からすると、縦長のやや深さのある方が植えやすいでしょう。

用土

一般的には軽石類の単用、もしくは軽石類を主体に赤玉土他との混合等で植え込むのがふつうですが、各人の好みにより使用する用土は様々です。また、水苔を使用して育てることも可能です。いずれにしても、根部へ空気と水分が同時に供給される条件で旺盛に生育します。そのため、鉢内に常に空気が流入されるように、一般の植物よりも大きめの(粗い)崩れにくい多孔質の軽石等を主体に極度に乾かないように10〜20%程度の粗いバーク等の有機物を混ぜ合わせた用土を使用することで、慣れない方でも育てやすくなります。専用土も市販されています。

植え方

根の長さやボリュームによって、あるいは使用する鉢の形状によっても植え方が若干異なりますが、一般的な方法を記します。 通常の場合、ある程度深さのある鉢を用い、あらかじめ株を鉢内におさめた後、鉢底に大きめの粒を入れ、それよりも小さい粒の用土で植え付けます。手で鉢のへりを軽くたたき、後に新しい割り箸等で用土をつつくなどして、根と土をしっかりと馴染ませるのがポイントです。

水やり

鉢内が乾いてきたら行なう、再び乾いたら行なうが基本です。乾いたかどうかがわかりにくい時は、時おり鉢を手で持ち上げてみると、あきらかに重さが異なるので、初心者にもわかりやすいと思います。無理に株分けしたものでなければ、驚くほど生命力が強く、かなり乾燥しても枯れることはありません。乾燥よりも水のやりすぎにより根を傷めることは致命傷になるため気をつけてください。

肥料

やりすぎは禁物です。特に乾きやすい鉢や用土を使用しての肥料過多は、根の生長点の生長を阻害するだけでなく、根全体を傷める原因になるため注意が必要です。生長点を極度に傷めてしまった株は、葉も長期間にわたり保持することはできません。そうなると立派には育たないだけでなく体力を回復させることすら大変です。 このため慣れない方は、まず根を傷めないことを優先に考えて施肥を行なった方がよいでしょう。具体的には、植え替え後すぐにマグアンプKなどの緩効性肥料を、鉢の大きさにもよりますが、用土の表面に大粒10粒程度をばらまいて、あとは生長に合わせて液体肥料を与えます。

置き場所

展示会等への出品が目的で葉をきれいに作りたい場合を除けば、強風によって葉が傷まない程度に風通しの良い場所、地面からの泥はねをしない台の上などが理想です。使用する鉢や土にもよりますが、よく乾く場合は雨がかかっても大きな問題はありません。 地植えでもよく育ちます。この場合は、風通しの良い場所で過湿にならないように、周囲の地面よりも土を少し盛り上げるようにして植え付けるとよく育ちます。直射日光が長時間当たる場所をさけ、一日のうち何回か間欠的に日光が差すような明るい日陰が理想です。 一年を通して観葉植物的に室内で育てることも可能ですが、その場合冬期には屋外もしくは凍らない程度の寒い場所に一時的に置いて低温に当ててください。寒さが足りないと、花茎が伸びない、あるいはつぼみが開かずに枯れてしまうことがあります。


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