ジエビネ発見記 文:小川豊明

1978年1月  小川豊明

それはまだ私が中学2年の頃、その頃よくサツキの展示会や即売会が盛んに行われていました。

幼い頃より植物が好きだった私は、おじいちゃん達にまぎれて展示会に行っていました。 そんな中にサツキ盆栽の添え物として小さな草が、そうです茶色の花を咲かしたエビネがありました、華やかなサツキの引き立て役のその花を見入っていると、持ち主のおじさんが話しかけてきました。 「君こんなのが良いのか、それなら一鉢あげるから最終日に来なさい」と言われなんだかとても嬉しくなりました。

私は本当に植物が好きで、幼稚園に入る前から庭のマツバボタンの数を毎日数えたり、駅の桜のひこばえが欲しいと母を困らせたり、サボテンにはまり、愛知県からカタログを取り寄せて通販で、花サボテンを集めてみたりと・・・。 自分じゃ別に変わっていると思いませんでしたが、親戚の方には変わった子に見えていたらしく、家に遊びに来る時などは菓子折ではなく、変わった植物をおみやげに持ってきてくれたりしていました。

そして、サツキ展の最終日、エビネをくれるというおじさんのところに行くと3鉢の色の違ったエビネが用意されていて、「これあげるから、来年のサツキ展にまた持ってきてね。日陰で作るんだよ」と言うと他にスミレとイワヒバも持たせてくれました。 本当に嬉しかったことを記憶しています。当時まだあまり植物の辞典など無い時代、栽培の本が欲しくて父に千葉の書店まで連れて行ってもらったことも鮮明に覚えています。

<海老根>ラン科 全国の湿った山床に生える。地域により様々な色があり栽培は容易・・・・・。 とあり、もっと欲しい変わった物が欲しいと思うようになりました。 ジモトノジエビネ編で書きましたが、当時私はこれがエビネだと知らずに、踏んで歩いていたかもしれません。

私の家は谷津の奥、まわりは雑木林と湿田が入りくんだいかにもランが有りそうなところ。 苦手な毛虫を気にしながら、家のすぐ前谷津の奥まったところにエビネが、それもたくさんありました。花は終わっていましたが、斜面に30株はあったと思います。 それからはエビネがありそうな雰囲気というのが解り、高確率で的中させることができました。実は佐倉はエビネにとって住みやすい環境だったのですね。探し回ると、素心(茶色の色素のぬけた緑色)や唇弁の桃色が濃い物、やたらと小さな花の物・・。 コレクションは増えていきました。そして高校進学、私は迷わず園芸高校を選び、趣味と将来の夢をつかむこととなりました。

サツキ屋のおじさんとは、その後も長い間花仲間としてお世話になりました。

ジエビネ (Calanthe discolor) - Ranyuen ジエビネ 佐倉の公園にて


コラム筆者:小川豊明

「野生のランに魅せられて」へ戻る

「自然人のコラム」へ戻る

ホームへ戻る