植え替えと株分け
エビネの新芽の位置は成長に伴い、毎年バルブひとつ分 (2~3cm) 前方へ移動するのが普通です。鉢栽培や庭栽培などで植え付け後、数年が経過し芽数が増えて鉢いっぱいになった株や、新芽の位置が鉢のふちまで達してしまった株では、株分けや植え替えをする必要があります。栽培場所の環境や株の状態のほかに使用する鉢や用土また目的 (単に増殖したいのか、大きくしたいのか?) の違いにより植え替えの方法や時期も違ってきます。下の動画では、初心者でも簡単に行える方法と適期について解説しています。
株分けと植え替えの適期
株分けや植え替えは条件が良ければいつでも行うことが可能ですが、適期は栽培環境、気象条件などにより異なります。 一般には花後 (5~6月) と秋 (9~11月) 頃が適期と言われてきましたが、近年の夏期は高温や日照不足、極度の乾燥などの異常気象がしばしば起こります。このため初心者が花後に株分けや植え替えを行った場合、新芽の形成が始まる夏 (7~8月) までに充実した株にすることは容易ではありません。また発生して間もない新根を傷めてしまうこともよくあり、まだ根の伸長が十分でなく力のない株を夏期の悪条件にさらしてしまうと花が咲きにくくなるだけでなく枯らしてしまう可能性もあります。その他多くの理由により、初心者や条件の悪い作場での株分けや植え替えはこの時期を避けた方が無難です。近年の気象条件などを考えると都市部周辺や初心者の栽培では、冬期に凍らさない程度の温度を保つことを条件に、花芽が完全に充実した1~3月に行うのがよいでしょう。 より詳しく知りたい方は最先端のエビネ栽培法 - 植え替えるもご覧ください。
その他の理由について
- 春咲きエビネの花芽は夏頃 (7~8月) から作り始め、冬至芽 (新芽) の状態で冬を越し翌春に開花します。このためりっぱな花を咲かせるには花後から夏までの管理が特に重要で、この時期までに肥培し充実した株に育て上げることができれば翌年の開花はほぼ保障されます。
- 植え付け直後の株や、日中30℃を超える高温時には根を傷めてしまう可能性があるため、肥料をひかえるのが普通です。このため花後の5~6月頃の植え替えでは肥培の期間が短すぎ花芽分化の時期 (7~8月) までに充実した株にすることがなかなかできないため、翌年にりっぱに咲かせることも難しくなります。
- 現在実験中のため詳しくは説明しませんが、エビネの場合、おそらく4~6月頃がウイルス病に感染するリスクが最も高い時期ではないか? と考えています。特に株分けや植え替えなど人間が関与した場合にその可能性はより高いものになると思われます。害虫による伝播と人間の接触による感染が複合的に行われていると思われます。正確なデータが得られれば改めて記します。
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