猛暑を乗り越える裏技

はじめに

近頃の夏は暑さが厳しく、多くの植物が栽培可能な限界温度 (高温) に近づいていると思われます。品種改良により耐暑性が得られるよりも気温上昇のスピードの方が早く、限度を超えた高温になり、上手に育てるのが難しくなっています。

ここではウチョウランの仲間を栽培するにあたり、芽出しの時期および水やりの方法を従来とは変えることで障害を少なく抑え、ほどほどのところまでは育てられる二つの方法を解説します。

夢ちどり、あわちどりの早期栽培

開花に必要な休眠が終わった球根を通常よりも早めに発芽させることで、開花および新球の形成時期を早め、夏の暑さがくる前に新球の肥大を図る栽培方法 (育て方)

凍らせないことを条件に1月末から2月はじめ頃に灌水を始めます。温度にもよりますが、通常は芽出し後70~90日くらいで開花が始まります。5月中頃に開花の始まった株では6月頃より新球を作り始めます。7月中頃 (暑くなる前) には親と同じくらいの大きさにまで成長します。

夜間温度が下がらない場所では夏の高温時には新球の形成が休止してしまうことがあり、うまく育たない場合もよくあります。しかし、この方法では球根の成育時期が通常よりも早くなり、暑さがくる頃には新球もできあがっているため、仮に夏の暑さで根元から倒れ、枯らしてしまったとしても、翌年咲くか咲かないかは別としてとりあえず発芽可能な球根が得られます。秋まで枯らさずに育てられれば充実した球根となり、翌年の開花は保障されます。

高温時の特殊な水やり方法

夏期の高温下では、根からの吸水、葉からの蒸散が抑制され、鉢内水分が乾かない現象がよくおこります。このため前日に行った灌水の水が翌日も減らず、そのままの状態で鉢内に停滞していることも珍しくありません。

水やりは乾いたらたっぷり与えるのが基本です。しかし、高温時に鉢内の水分が過剰にあると、根に負担を与え傷めてしまい、その後の成育は極度に悪化し枯らしてしまうこともよくあります。これを避けるため風が弱く高温が何日も続く時の水やりは、鉢底から流れ出るほどたっぷりと与えるのではなく、成育に支障が起こらない程度の少量の水を与え、鉢内をしめらせるだけの方法があります。

この方法により根部の水分過多が防げ、根傷みによる障害も少なくてすみます。灌水を行う時間は水やり後、鉢内の温度上昇がおきにくい17時以降に行うことで、鉢内温度の上昇が抑えられ根傷みも防げます。夜間 (寝る前頃) に土の表面が湿る程度に、さっと葉の上から灌水するのもひとつの方法です。鉢内の半分程度まで水分がしみるように行います。


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