鉢・土・水やり

鉢と土との組み合わせ

適度に水分を保ちながら同時に鉢内 (根部) にも空気が入るような用土とそれを可能にする鉢との組み合わせが理想です。そのような用土を使い極度な乾燥を避けた栽培をすれば、たくさんの花をゆったりと咲かせる鉢花になります。やや荒めの用土と素焼き鉢の組み合わせではしっかりと締まったコンパクトな姿に仕上げることも可能です。

素焼き鉢、化粧鉢、プラ鉢、ビニールポットなど色々な種類や形状、大きさの鉢が使用できます。鉢のサイズや材質あるいは形状 (浅・深・他) の違いにより乾き具合が異なります。鉢の種類はあまり気にせず好みの物を選び乾き具合に合わせた管理をすれば何でも使用可能です。一般には2~3号鉢を使用して1~5球程度植えで栽培するのが普通ですが、植え付ける球根数が多ければこれよりも大きいサイズの鉢でも育てられます。

ウチョウランの仲間を栽培するときに使用する土は適度な水はけと同時に保水力があるものが適しています。具体的には赤玉土、鹿沼土、各種軽石類などの単用および混用、あるいはこれらに山ゴケか水ゴケを細かくし混合したものがよく使われています。水ゴケの単用でも栽培することができます。多くは鉢底に少量のゴロ土 (中~大粒) 敷き2~5ミリ粒に山ゴケや水ゴケを10~30%混合した用土がよく使われます。栽培する環境やあるいは仕立てたい姿にあわせ自分にあった種類や粒子の大きさを見つけることが一番です。

その他 水やりの注意点 〜鉢と植え土にあわせての管理〜

使用する鉢や土、あるいは置き場の環境などの違いにより乾き具合も異なるため水やりの頻度も違います。通常一回の水やりは鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与え、植え土が乾いたら再度与えるを繰り返し長期間の乾燥や加湿は根の伸長に悪影響を与えるため気を付けます。花が咲いていなければ葉上からかけてもかまいませんが、茎が固まる前の伸長期はやわらかいため勢い良く水をかけると横倒しになり見栄えが悪くなるためやさしく行います。水やりの基本 - 年間猛暑を乗り越える為の裏技も参照してください。

ウチョウラン栽培の第一人者、故・鈴木吉五郎氏は「2.5~3.0号の素焼き鉢の使用が適している」と、水やりや他の管理方法と合わせて解説しました。しかし、氏の栽培書を読み、同じように栽培したはずの人たちの中に、株がいじけてしまい、枯らしてしまう人がたくさんいました。私はその原因に心当たりがあります。20代の頃、氏の栽培場を何度か訪問したことがあるのですが、氏の栽培場は木々が生い茂る広い庭の中にあり、周囲には食虫植物や他の多くの山野草が栽培されていました。風通しも極めてよく、同時に湿度も適度にあり、開花期 (初夏) でも涼しい作場でした。私が察するところ、庭全体が山野草の自生地に近い環境で、たいして手をかけなくても育つ条件が整っていたと考えられます。これに対し、都市部周辺の住宅地などでは夏期の高温や極度の乾燥など、植物にとって住み心地の悪い条件がたくさんあります。にもかかわらず、このような場所で氏と同じような鉢を使い、同様の管理をしたのでは、湿度不足や高温、あるいは風通しが悪いために上手に育てられないこともよくあります。

まめに観察し、その時の気象状態や植物にあわせての早期の対応が必要です。


ホームへ戻る