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エビネ病害虫の防除

エビネの葉は大きくてりっぱで、花のない時期でも存在感は十分です。しかしそこに病斑や害虫による食害の跡があると見た目が悪くなるばかりでなく、その被害の程度が大きいと生育にも悪影響を及ぼします。花のない時期でもよく観察し発生初期に気付き適切に対処するのが一番です。気が付くのが遅れてすでに被害が進んでしまった場合でもこれ以上の被害拡大を防ぐため、なるべく早く原因を見つけ対処します。難しいのは病気の原因は一つではなく、複数の問題からおこる場合が多いので、原因を特定することも難しいのが普通です。

病気は栽培場所の環境やその他の条件が良くない場合に多く発生します。このためエビネにとって快適な環境を作り、元気な株に育てることで病気の発生は少なくてすみます。バルブの数が複数あり、根が多く健全な株を求めることも病気の発生が避けられるひとつの要因になります。良い株を求めることで病気の発生も少なくてすむというわけです。

それではエビネの病虫害とその防除方法について解説していきます。

害虫の防除

エビネ害虫
エビネ害虫

アブラムシ

アブラムシ
アブラムシ

主に4~5月。花茎、花、つぼみに発生。0.5~3mm程度の大きさ。赤褐色から緑色をした小さな虫。黒色で翅のあるものもいる。
繁殖力が旺盛で短期間で増殖、吸汁により、鑑賞価値を損なうだけでなくウイルス病を媒介することもあります。
見つけたらすぐに花茎を抜き取るか、ガムテープなどの粘着部分を利用すると簡単に取り除くことができます。多く発生した時は殺虫剤を使用します。また粒剤の使用も有効ですが、ウイルス病の発生がある場所での使用は、虫がほかの株に移り、ウイルスを拡げてしまうことがあるので気をつけます。キラキラと光るものを嫌うため、株の周囲にアルミホイルなどを置いておくと被害を減らすことができます。
近年は真冬でも翅のある成虫が飛来することがあります。春の大発生につながるだけでなく、ウイルス病を媒介する可能性もあるため気をつけてください。周囲の除草を行うとともに、農薬散布も有効です。

ナメクジ

ナメクジ
ナメクジ

春~秋に発生。花茎や花、つぼみなどを食害する。
昼間は鉢の裏や土の中にひそみ、主に夜間に活動します。多湿状態で活発に動き回り、粘着に光る這い跡を残すため、他の害虫による食害との区別は容易です。通常は根の傷みや病気などにより傷んだ葉を、繊維を残すようにして食害します。このため、花時以外にはほとんど被害を与えないのが特徴ですが、まれに元気のよい緑色の葉をバリバリ食べることもあります。
夜間に活動するため、食べ跡付近を探して一匹づつ取り除くか、殺ナメ剤(駆除剤)を使用します。

カタツムリ

カタツムリ
カタツムリ

春~秋に発生。開花前後の新芽、つぼみ、花などを食害する。大きさは1~5cm。
通常庭でよく見かけるような大きな殻をもったものではなく、1mm~5mm程度の小さなカタツムリが、やわらかい部分を好んで食べます。
食害にあった部分には、さまざまな形のちいさな食い跡を残すため、新しく食害にあった場所の近くを探すと見つけることができます。ひとつづつ手で取り除くほかに、ナメクジと同様に誘殺剤の使用も有効です。

ケムシ

ケムシ
ケムシ

ケムシによる食害はまれですが、一度発生すると、葉が食い荒らされ被害が大きくなるので注意します。
食い跡周辺を探せばすぐに発見できるので、見つけ次第なるべくはやく取り除きます。

ハダニ類

ハダニ類
ハダニ類

主に春~秋。葉の裏側に発生、かすれたように白っぽくなる。大きさは通常1mm以下で赤色から黒褐色。
中~高温時(特に夏期)乾燥すると多く発生し、ハウス内や暖地では真冬にも発生します。発生初期、葉の裏に小さな白っぽい小斑点を生じ、やがて白っぽく変化していきます。ひどくなると葉全体が真っ白になり、生育が極端に悪くなります。また一部のウイルス(OFV等)を媒介することもあるので注意が必要です。
ハダニは水が嫌いなため、葉裏にも水がかかるように灌水することで発生は少なくなります。増殖が早いため、被害が進まないうちに葉裏を中心に殺ダニ剤(農薬)を散布します。

ゾウムシ

ゾウムシ
ゾウムシ

5~10月頃。3~8mmの白色の幼虫が茎葉内部を食害する。
春から夏に成虫が茎葉部を食害し、葉柄部など厚みのある場所や新芽内部に産卵します。幼虫は茎葉内部を食害し、時にバルブ内部へも移動します。気付かずにいると株に大きなダメージを与え、枯らしてしまうこともしばしばあります。
成虫には殺虫剤の散布も有効です。茎葉部の中に入る幼虫には效果がないため、根から吸収されるタイプの粒剤(殺虫剤)を使用します。

ウワバ類

ウワバ類
ウワバ類

春~秋(高温時に多く発生)に、大きさは2~4cm程度で、緑色、まれに褐色。葉を糸で綴り繭となり、成虫は蛾となる。
エビネでは葉の裏側にひそみ、成長した葉を食い荒らすことが多くあります。幼虫は異なる株で一匹づつ行動し食欲は旺盛で、わずか2~3日で葉は大きな穴だらけになることもあります。
被害が広範囲に及ぶこともあるため、見つけ次第取り除くとともに、殺虫剤を散布します。

ヨトウムシ

ヨトウムシ
ヨトウムシ

エビネでは4~6月に発生。新葉や花茎、つぼみなどを食害する。2~5cm程度で、緑色~暗褐色のイモムシ。
昼間は土中や葉裏に隠れていることが多く、被害の多くは夜間に集中します。ハスモンヨトウは日中に活動することもあります。地植えの株では、開花直前の花茎部分に食害を与えることも多くあり、がっかりさせられます。
食害された跡には、暗黒緑色のコロコロとしたフンを残し、すぐわかるため、新しく被害にあった場所を探し取り除くか、夜間に殺虫剤を散布します。

カイガラムシ

カイガラムシ
カイガラムシ

エビネに発生するものは1~3mmのかさぶた状で主に茎葉部から葉の裏に寄生する。
通常は葉柄部分に多く寄生しますが、ときに葉全体に及ぶこともあり、寄生された部分は脱色してまだら模樣を生じることもあります。
発生数が少ないうちは、つまようじなどでひとつづつ取り除きます。多く発生が見られる場合は農薬散布を行います。成長するとロウ質のカラを持ち、農薬が効きにくくなります。有効農薬も少なく、また、すす病を誘発させるため、早期の駆除が大切です。

ハモグリバエ

ハモグリバエ
ハモグリバエ

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病気の防除

エビネ病気
エビネ病気

灰色かび病

灰色かび病
灰色かび病

エビネでは4~7月頃に多発
葉鞘(ハカマ)および葉柄部を腐らせる。花やつぼみには黒色の小斑点を生じる。

中~低温期、風通しが悪く湿度が高い場所、特に周囲に多くの植物がある場合や、ハウス内など空気がよどむ場所で多く発生します。開花中の花に小斑点があらわれ、進行すると多くのカビを生じます。通常生きた部分で大きな被害を与えることは少なく、枯れて間もない葉や葉鞘(ハカマ)、花がらなどに発生します。また根傷みなどで傷んだ葉先に発生することがよくあります。この場合、カビが見えにくく葉を腐らせながら進行していくため、軟腐病と誤認される場合がよくあります。ハカマ部分に生じた場合も同様です。
開花前(3~4月)に枯れ葉を取り除き、風通しのよい場所に置くとともに、予防のため灰色かび病に効果のある殺菌剤を2回程度散布します。同様に花後(5~7月)にもハカマ部にかかるように行います。

灰色かび病(葉枯れ)

灰色かび病(葉枯れ)
灰色かび病(葉枯れ)

通年発生
夏期ではかびが見えにくいため、他の病気との区別が難しい。

バカ苗病

バカ苗病
バカ苗病

4~5月(展葉時)、10~11月
新芽が異常に伸長し展開途中の葉や内部のつぼみに白色のかびを生じ、のちに褐色の病斑が残る。

新芽(冬至芽)にカビの一種、フザリウムが感染すると、異常な徒長がおこり花が咲かないことがあります。また展葉後には小斑点や黒色のえそ斑となり葉が見苦しくなります。株に多くの芽が発生し、勢いがなくなることもよくあります。昔はバカが移動することで感染が拡大すると言われました。エビネではバカ(動物)ではなく昆虫や泥跳ねにより被害が広がります。
罹病株は離れた場所で管理し、展葉時に薬剤散布を行います。異常な伸長が毎年見られる株は特に気をつけます。周囲に田畑が多い場所で多く発生します。

輪紋病

輪紋病
輪紋病

夏期、高温時に発生
小斑点があらわれ、のちに年輪状の縞となることが多い。

軟腐病

軟腐病
軟腐病

春から秋
葉先や新葉が黒く腐る。細菌性の病害。

斑点性の病害

斑点性の病害
斑点性の病害

展葉後、5~8月に発生
当初、淡色斑を生じる。

炭疽病

炭疽病
炭疽病

夏期
葉に褐色から黒色の大小さまざまな病斑を生じる。

ウイルス病(モザイク病)

ウイルス病 (モザイク病)
ウイルス病(モザイク病)

花や新葉に濃淡のまだら模様が発生する。人間の手や使用する器具、または害虫により感染する。
バイラス、ビールスもウイルス virus と同じです。エビネには約10種類のウイルスが感染することが知られています。エビネマイルドモザイクウイルス(CaMMV)、シンビジウムモザイクウイルス(CyMV)、ランえそ斑紋ウイルス(OFV)が特に被害が大きく問題となっています。
多くは開花時に花や新葉に濃淡のまだら模様があわられ、ひどくなると黒色のえそ斑を生じることもあり、観賞価値を著しく損ないます。いまのところ治す薬や方法がみつからないだけでなく他の株に伝染させることもあるため注意が必要です。エビネの場合はよほどひどくない限り枯れることはないので、気づかないまま栽培されほかの株に伝染させてしまうこともしばしばです。
多くのウイルスでは新芽が展開する時(4~6月)以外にはほとんど見分けがつきません。花時に感染が確認された株は思い切って処分するか、できない場合は他の株に移らないよう別の場所で栽培します。エビネのウイルス病は育てている株を含め、まわりにラン類がなければほとんど感染の心配はありません。入手する時は、開花時に花や新葉に不自然な色むらや脱色斑がないことを確認してから購入するのが一番です。また新しい株を購入した時などはウイルス病があるかもしれないと仮定して、しばらくの間別の場所で栽培することで万が一ウイルスに感染している株であっても被害の拡大が防げます。

病虫害以外の障害

病害虫による被害に似たものに日差しが強いためにおこる褐色の葉焼けあるいは葉の黄ばみ、寒風や凍結による葉枯れや、根の傷みのためおこる葉先からの枯れ込み、水不足によるしおれ、等の他、栽培の条件が悪いためにおこる障害も多くあります。これらはいずれも病害虫の被害ではないため、農薬を使用しても改善はみられません。病害虫によりおこっているものなのか、栽培条件が悪いためなのかの判断が必要です。また悪条件からおきた葉傷みの部分にはその後病害虫(灰色かび病、ナメクジの食害)が発生するなど、原因が単独ではなく複数の事柄が関与している場合も多くあります。

また不適切な薬剤の使用により葉に薬害を生じることもあります。薬害は数日から数週間の時間差で生じる場合もあり病気との区別は難しくなります。このため病気と勘違いし、より多くの農薬を散布し、さらに被害を大きくしてしまうこともあるため注意します。 また生理障害や薬害以外にもサルメンエビネが関係する交雑種や、唇弁がザラザラとした個体の子孫などでは葉に斑が現れることがよくあります。ウイルス病によく似た斑となることもあり、区別が難しくなります。ウイルスによる病斑と斑が重複していることもめずらしくないので注意が必要です。

よく観察し、障害の原因を突き止め、その後適切な対応をすることで上手に育てることができるようになります。


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