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ドラマチック農業のすすめ [9] 〜農業の大規模化はベストな選択 ?〜

近頃TPPが大筋合意されたことにより、日本の農業が生き残るためには大規模化が必要という話をよく耳にします。 たしかに規模拡大は日本全体の農業が世界と競争し発展していくための一つの方向ですが、個人レベルで農業を考える場合には必ずしもベストな選択になるとは限りません。

農業に限らず、事業を始めるとほとんどの方はその規模を大きくして売り上げも増やしたいと思うのが普通でしょう。農水産業など一次産業以外の業種では、しっかりした計画のもとに大きくするのであれば、大きな失敗にはならないのが普通です。農業においても、先を考えずに大きくすることは難しいことではありません。しかし、後先を考えずに大きくしたために「その後とても大変な思いをした」と話す人は、私と私の仲間達を含め、少なくないのが事実です。

私の場合を例にすると、新しい花を作るのが楽しいあまり調子に乗り、市内のあちこちに施設(ランの栽培ハウス)を建て、合計1万坪を超える規模にまで広げてしまいました。

しかし、その後施設の老朽化や時代の変化に合わせ、栽培の効率化だけではなく、その他気象変化にも対応するため、施設の改築や建て直しを余儀なくされました。 その他多くの問題がありましたが、やっとの思いで乗り越え、その多くをまとめて管理できる第7農場へと引き継ぐことができました。

ところがようやく多少息がつけるかと思った矢先のことでした。記録的な大雪で合計17棟ものハウスを私の油断もあり倒壊させてしまったのです。あまりのショックに一度は全てやめて終わりにしようと思いました。

その後たくさんのお客様の後押しをいただき、家族にはケツを叩かれてなんとか16棟の修繕を終えることが出来ました。しかし気象の変化は年々激しさを増すばかりで、今でも高温、日照不足、大風その他に対応するため忙しい毎日を送っています。

私の経験では、自然と密接に関わる農業は、甘い見通しで限度を超えて大きくしてしまうと後に大変な事態になりかねません。このためもしも想定を超えた出来事が起きてしまった場合でも対応可能な規模や条件のもとで行うのがベストです。

農業は他産業とは違い自然と密接に関わる仕事であり、長く続けていると自然災害だけでなくその他不測の事態等が起こり、収穫そのもの、あるいは出荷ができないなど、計算通りにはいかないこともよくあります。 そのため、田畑などを集約するだけで、ハウス他の施設設備に多大な費用をかけなくてもすむ大規模化ならばよいのですが、ハウス他の施設・設備に巨額の資金をかけての規模拡大には充分な注意をして進めることが必要です。特に近年は気象その他自然災害の規模・変化が年々激しさを増しているため、私たちが今までに経験したことがないような異常事態等が起こることを考慮して、覚悟をもって慎重に行う必要があります。拡大自体を目的とするのではなく、必要とされた結果、拡大につながる事が理想です。

(※参考 → 近年に多い障害と対策)

例えば不測の事態が起きたとします。家族あるいは少数の雇用での経営ならば、融通を利かせれば乗り越えられる事も、大きな資本を投じて規模を拡大し、施設の数や雇用数が多くなると、何かあった時の責任やリスクも大きくなり、続けられなくなる可能性も高くなることを忘れずに。

大規模化による大量生産で低価格を目指す事だけにとらわれず、あえて逆にこじんまりとした規模でまごころを込めた丁寧な仕事を行い、より品質の高い物を作り他との競争の渦に巻き込まれない事を考えるのも一つの農業のあり方です。

最後にもう一度念をおしますが、農業は他の産業とは全く異なるため、ご自身の身の丈に合った規模での経営が望ましいと考えています。


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コラム筆者:山本裕之

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