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北限の島のオオオサラン

東京を発つ際に見つけるまでは帰ってこないと宣言した幻のラン、タネガシマシコウランはいとも簡単に発見する事ができ、おまけに新種の地生のラン (後からかんがえるとヒメクリソランだったかも?) までも見つけることができました。このため、翌日はその場所を足早に通りこし、事前に岡本君、西尾君に聞いていたオオオサランがたくさんある場所を目指して、更に山奥へと向かいました。途中、あちこちに着生するオオタニワタリの株元には、数枚の葉をダラリと下方に垂れ下げるように生育する希少種のシダ、コブランの姿がポツポツと目にとまります。

コブラン

中には一ヶ所から、20〜30枚の葉を長く下垂させた特大株も見られます。これはシダ好きがみたら震えがくるだろうなあ。などと考えながら、名残惜しげに残花を咲かせるツルランの大株を見ながらしばらく歩くと、ちょうどジブリの映画に出てくるような、コケむした大岩がゴロゴロと転がっている森にたどり着きました。この場所は周りよりも空中湿度がかなり高いとみえ、近くに見える樹々には上の方までコケが生えていて、以前にこの場所を訪れたことのある西尾君と岡本君から聞いていた通り、オオオサランの姿が点々と見られました。

しばらく進み、ふと目の前にある巨木に目を向けた瞬間、私は思わず自分の目を疑いました。なぜならばそこには、下から上まで樹一面にビッシリと着生する100株近くのオオオサランの姿があったからです。ちなみにこれは、私がこれまでに見てきた自生地のオオオサランの中でも最大の群生であり、1本の木にこれほどたくさんのオオオサランの姿を見たことはありません。

オオオサランの自生の様子

私より先にここを訪れた事がある友も、この光景を見たのでしょうか? 約35年が経過した今でもこの話はしていません。今度会った時に聞いてみようと思います。

オオオサランの大群生を見つけて感動している私のいる谷間も、樹々は大きく揺れてちぎれた枝葉をあたり一面に撒き散らすほど荒れてきました。実はこの時すでに、屋久島に大型の台風が近づいていることを知っていましたが、雨が降ってこないため、それを承知の上でギリギリのところまで山中を歩き回っていたのです。

そろそろ限界かなと感じ急いで下山することにしました。帰り道、昨日例の新種らしき地生ランを見つけた場所を通ると、そこには既に地面が見えないほど、大量の枝葉が散乱していて、そのランを再び見ることはできませんでした。この時、もしあと一日ここへ来るのが遅れたならば、この新種らしき地生ラン (ヒメクリソラン?) も枝葉の下となり、永遠に見つけることはできなかったのではないか。と実感させられました。今、あの時のことを改めて考えると、あれは「天が私だけに与えてくれた奇跡の瞬間」だったと感じています。

山中から道へ出ると、すぐにバイクを飛ばし急いでキャンプ場へ向かいました。そこにはすでに、強風で片方が引きちぎられ、バタバタと音を立ててかろうじて残っている私のテントがありました。慌ててテントを丸め、近くの小屋にいると、見回りに来た役場の方からここは危険だからすぐに避難するようにと車で送ってもらい、地域の避難場所である小学校の体育館で台風が通り過ぎるまでの一晩を過ごしました。

この時、どこの誰かもわからない私に、島の人たちは手作りのにぎり飯やお茶、お菓子など心のこもった優しさをいただきました。

ここでとても親切にしていただいたことは私の記憶から生涯消えることはありません。 そういうことで…その後もマツゲカヤランを探すため1週間ほど島に滞在し、あちらこちらを歩き回りましたが、この時は残念な事にマツゲカヤランを見つけることはできませんでした。 フェリーで鹿児島へ戻り、私が次に向かうのは、大隅半島南部の佐田辺塚です。 私の場合はクセ (悪い?良い?) があって、それは加減することができず、いつも限度を超えてしまい、これまでもしょっちゅう散々な目に遭ってきました。

そして、この後も大隅半島からの帰り道に何かが…??

少しだけの寄り道があだとなり悲劇へ・・・

オオオサラン (Eria corneri)

鹿児島県の屋久島、種子島以南(以西)に自生する着生ランです。 葉は通常2枚で、下部にはやや角ばった2~5cmのバルブをもつ。開花期は産地により多少の差があり、夏~秋、淡緑白色の小花を多数つける。

自生地では、日当たりの良好な場所に生える株は大型で、長さ30cmを越える肉厚の葉と大きなバルブをもち、別名がホザキオサランと呼ばれるとおり、多くの花を穂状に咲かせる。 これに対し、湿気が多く、やや暗い山中で見られるものは、花数は少なく株も貧弱でチョロ咲きのものが多い。

チケイランなどのように、比較的、低位置の地上に近い場所に多く着生が見られることからすると、他の多くの着生ラン (種) にくらべ、水分を好むことが推測できます。

オオオサランの自生の様子


コラム筆者: 山本裕之

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