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コゴメキノエラン:ヒスイのように綺麗なラン

奄美大島へ来るのはこれが2度目です。3月始め、私の愛車みどり色のキャラバン (キャンピング仕様の改造車) は岡本、西尾、山田、私の4人を乗せ、東京を出発。

私の運転で一気に福岡県まで走る。この辺りまで一人で運転するとさすがに疲れてしまい、ここで山田君と交代してもらう。国道3号線を走り、8時間ほどで鹿児島の港へ到着。

ここからは予定通り2組に分かれ行動します。岡本君、西尾君の2人はフェリーで屋久島へ、そして山田君と私は、去年見つけることができなかったキノエササランとコゴメキノエランを探すため、再び奄美大島へと向かいました。2週間後にここ鹿児島で無事に再会することを誓って。

島へ着くとまず、名瀬の山下氏のところへ挨拶へ行き、その後、前回も行った宇検村のとある山へ向かいました。

目的地の山はこの日も霧で覆われていて、私たちも全身をしっとりと濡らしながら山中を歩き回り、幻のキノエササランとコゴメキノエランを探し回りました。

片っ端に樹々を見ながら、歩くこと数時間、いくつかの谷を越え、明るい尾根に出た場所でふと前方を見ると、霧の中でしっとりと濡れた状態でコケとともに着生するコゴメキノエラン (Liparis elliptica) の姿が見えました。初めて見つけた自生地のコゴメキノエランは葉もバルブも透き通るようにきれいな緑色をしていて、まるで宝石のように綺麗なランだったと強く記憶に残っています。

その後、改めてあたりを見回すと、近くにある樹々のあちこちにかなり多くの株を見つけることができました。そして、その時はじめてこんなにもたくさん自生していたのに、今までひとつも見つけることができなかった理由も分かりました。

それは、私が過去に日本のあちらこちらでたくさん見てきた、セッコクやフウランをはじめとする多くの着生ランが自生する姿とはかなり異なり、自分の想像とは全く違う環境の中に自生していたからです。

自生地での違いを同じ仲間のチケイランと比較すると、チケイランが主に空中湿度が高く風通しも緩やかなやや暗めの谷あいなどで、大木や岩などに多く着生しているのに対し、コゴメキノエランは空中湿度というよりも霧や小雨などの水分が直接得られる、風通しが良好な尾根近くの明るい場所に多く見られ、やや細めの木々の樹幹等に、コケとともに多く自生しています。

このようにこの2種類は外見上はよく似ていますが、自生地ではお互いに住み分けるように生活することが多く、2種が同じ場所に自生している事はそれほど多くはありません。

しかし、ごく限られた狭い範囲においては、上下など少しの距離を置くだけで、2種が混在して自生している姿も見られました。もしも仮にこの2種に交雑する機会があったのならば、どのような姿をした雑種が生まれたのでしょうか?

日本ではかつて奄美大島で1度だけ見つかり2度と発見される事がなかったといわれている幻のラン、キノエササランによく似た個体が生まれたかもしれません。

私は国内外ともにキノエササラン (Liparis uchiyamae) の自生地は見た事がありませんが、栽培されている個体の増殖率が良いことなどを考えると、もしかしたら自然の中での奇跡により生じたロマンのランかもしれません。

いずれにしても、チケイランとコゴメキノエランの雑種が出来るのならば、それがどのような個体になるのかを確かめてみるのも面白そうです。もしかしたらコゴメササラン、コゴメチケイラン、キノエチケイランなんかができるかもね?


コラム筆者:山本裕之

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