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私のハブ捕りものがたり [5]

サキシマハブ:八重山列島に生息する毒蛇。沖縄・奄美に生息する本ハブと比べて気性は温厚で、毒性も弱く、噛まれたという話もめったに聞かない。 例えば、私の知っているのは

・西表島で、地元の小学生の額に牙が当たり、頭が大きく腫れた(命に別状なし)事

・石垣島で同じ宿に宿泊していた京大の大学院生が部屋の中で補虫網に入れて悪戯をしたところ指先を噛まれた(翌日はピンピンしていた)事

・もう一つ、ハガクレナガミランを描くため、私の知り合いの編集長と同行した画家の持っていたラジオに飛びつかれた(無傷)事

この三例だけで、そもそもあまり現地でも怖がられていなく、私も今までは見つけてもよけて通る程度でした。

しかし、私が、三度目に西表島に行った時のことです。 野生のランを探している最中に、ちょうど古見集落に近い、縦走路の出口辺りで一匹のサキシマハブを見つけました。 もうかれこれ10日以上もの間の即席ラーメンや缶詰の食事にウンザリしていて、何かそろそろ他のもの、何か肉でも食べたいなと思っていた矢先にちょうどお手頃サイズでした。大学時代、文化祭で探検部の連中が串刺しにした焼き蛇を売る出店がいつもあって、香ばしい香りを漂わせるその焼き蛇を面白がって買って食べていましたが、 こいつを見た時に、私は食ってしまおうという衝動にかられて、ビニール袋に押し込んで宿へと向かいました。

今晩の泊りはみどり荘、その宿で東大生のバードウォッチングのグループと一緒になりました。 我々は意気投合して、一緒に食おうという話がつき、次の朝、宿の下の海岸で、 皮を剥いたハブを棒に吊るして丸焼きにしました。こんがりとうまそうに焼けたハブはぶつ切りにしてそこにいたみんなで分けました。味は、小骨が多くて微妙。大学で食べた蛇と同じようなものでした。

今考えると、そのハブには本当に可哀想なことをしてしまったと反省してもみますが、もう後の祭り。 その頃まだ若かった私は、他人の事(ハブ)のことまで考えてやることはできなかったのです。 さようなら、ごきげんよう。


コラム筆者: 山本裕之

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