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伝説のランを探す! 屋久島のケンムンラン

巨大なガジュマルにだけ宿るという伝説のケンムンラン・・・

これは、私がまだ若い頃屋久島の山奥で出会った長老から聞いた伝説の蘭「ケンムンラン」のお話である。

今から40年程前、私たちがまだ学生だった頃、野生のランを探すため屋久島の山中を大汗をかきながらひたすら歩いていたときの事である。 ある日、前方にどっしりとした姿でたたずみ、私たちをみつめている長老に出会った。このご老体は自らを本富(モッチョム)太郎と名乗り、この場所にかれこれ2000年近く暮らしているという。

本富太郎は低い声で「お主らはこんな山奥まで何用で参ったのか」と問うた。野生のランを探すため東方より3日間かけてこの島へやってきたことを告げると、本富太郎は静かに口を開き、それならば昔から島に伝わる面白い話をしてやろうと言って伝説のランの話をし始めたのであった。

「その草の名は、ケンムンラン。むかしむかし、そのまたむかしのおおむかし、南の方にある「くりお」というところの川のほとりにある、それはそれはとても大きなガジュマルの木の、ずうっと枝先の方に綺麗なラン草がたくさんついていたのだ。そのランは芳醇な甘い香りを遠方までただよわせるため、ケンムンランが咲く場所はたくさんの鳥や蝶たちが集まりたわむれる楽園になると言い伝えられておる。そのランは一年にたった3日間、それも夕日があたり橙色に染まる夕靄の中にだけ咲くのじゃ。ただしもうかれこれ100年間このランを見た者はいないそうな。」

老人はここで一息つき、声音を重くして最後にこうつけくわえた。

「しかし、気をつけることがひとつだけある。そのランを採ろうとする者にはガジュマルの木に住むケンムンという名前の幽霊(おばけ)たちのたたりで木から落ちて大けがをするため、もしみつけても絶対にそのランに手をだしてはいかぬぞ…。」 そこまできいた途端、突然あたりに霧がたちこめ、本富太郎の姿は見えなくなってしまった。

次の日、朝早く私たちは本富太郎の住む山を下りると、そこから約40km離れたところにあるクリオ川のたもとにあるクリオ橋近くにあると教えられたケンムンの森を目指して車を走らせた。

この写真はこの時に撮ったもので、ガジュマルの巨木で伝説のケンムンランを探しているときのものである。

岡本君

西尾君と、オレンジ色に光るケンムン幽霊の姿を捉えた貴重な1枚


イラスト:M.Tajima

コラム筆者:山本裕之

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