ドラマチック農業のすすめ [13] 〜農水産物(食品)の自由化を別の視点から考える〜

 最近テレビや新聞ではTPPなど国家間の様々な取引を自由化しようという動きが度々取り上げられ、世間でも話題になっているようです。
 その中に含まれる貿易の自由化については、それぞれの立場によって賛成、反対があるのは当然のことです。特に日本の農業関係者の多くは、やらない方が良いと思っているようです。たしかに、直近の利益、不利益だけを考えるのであれば、多くの業種でマイナスになることも多いと予想されます。特にその影響が大きいと思われる農業関係者の多くが反対するのは当然の事でしょう。海外から安価な農産物が大量に入ってくると、今の日本の高値の農産物は太刀打ちできず、農業も衰退してしまい、日本の食料自給率がさらに低下してしまう可能性が高いと考えられるからでしょうか?

 世間でいわれているように、戦争が起きた時など有事の際に食料自給率が低いと大変なことになるのは確かでしょう。しかし、逆に世界のあちこちで食べ物がとれなくなることにより戦争が始まる可能性があることも考えておく必要があると思っています。
 私が、自社の農場で過去15~20年間の変化を見続けてきて感じることは、急激な気象変動により近い将来、世界的な規模での自然災害そのほかの原因で食糧がとれなくなる可能性が高いということです。そうなった時、国家間の壁が無く、食料を世界中で簡単に融通できるような仕組みがあったのならば、食べ物を得るための争い事をある程度のところまで遅らせたりあるいは抑えたりすることも出来るのでは、と考えています。

 このようなことから、現時点での自分たちの利益だけを考えるのではなく人類の未来のことを考えるのであれば、特に食糧に関しては貿易の自由化が必要だろうと私は思います。もちろん、現状では品目ごとにある程度のルールを設けることは必要なことだと思います。しかし、すべてをルールとして制限してしまうのではなく、「もしもの時には食べ物その他人間の命にかかわるものは制限なく融通する」というような特別ルールを作成しておくことも必要なことだと思います。


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コラム筆者:山本裕之

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