ドラマチック農業のすすめ [11] 〜花育種〜
花育種はスケベな人に向いている
私は、育種はスケベな人に向いている仕事だと思っています。それは育種においてなによりも大切なことが「想像力が豊かなこと」だからです。実際に私の知っている育種人は全員がスケベな男たちばかりです。
おもしろい作品を作るにはただ理論だけで機械的に行うのではなく、自分の想像力をフルに使って何世代も先まで想像することが必要です。そして場合によっては数十年の歳月をかけてでも理想を追及する根気と大いなる想像力があって初めてなせるわざ、それが育種です。もちろん基礎的な知識は必要ですが、何よりも大切なことはたくさんの遊び心とスケベ心を持って想像することです。
例えばつややかできれいなピンク色のトマト、ピチピチのピーチ(桃)、ムチムチパンパンの房ブドウ、目をつぶって想像してみてください。食べてみたいと思いませんか?冗談です。
それはそうとして、私は自分の作品を作るにあたり、花を女性と重ね合わせて考えることをよくします。色っぽさ、あでやかさ、肌の質感、みずみずしさ、そして若さ、かわいらしさ等、女性が持つ特有の雰囲気が、私のイメージする理想の花と重なるからです。
私の専門の日本のランなどでは、ワビ・サビという言葉を使って良さを表現することが多くあります。しかし、実際にはただ珍しい色や形をしているだけの奇妙な花や、おばあさんに真っ赤な口紅をつけたような不自然な花であることがほとんどです。そのような花からは日本的な雰囲気は感じられず、私はあまり好きではありません。私の好みは年齢を重ね多くの経験をつんだお年寄りのような風格や味わいのある花や、逆に若々しくてキュートな花、色っぽさを漂わせる妖艶で美しい魔女のような雰囲気の花などです。
ところで皆さんはどのような花が好きですか?
例えば、男性の方ならば若々しく可愛らしい女性に例えられるような花を、女性の方ならばハンサムなかっこいい男性に例えられるような花はどうでしょうか?
このように自分の好きな人物のイメージと重ね合わせて花選びをすればきっとお気に入りの花を手にすることができるでしょう。そのような花を近くに置き眺めることで気分もきっと若返るものと思います。
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コラム筆者:山本裕之