痔の話 文:小川豊明

2005年 5月 小川豊明

 今から13年ほど前になりますか、職場の仲間達と伊豆諸島・利島にセッコクの写真を撮りに出かけたことがあります。その昔(30年程前)は、はしけでの上陸の島で、伊豆大島からの渡船「村営船利島丸」では船酔い必死の覚悟がいりました。最近では大型客船や高速ジェット船が通う便利な島になりました。

快適高速ジェット船 快適高速ジェット船

 前置きはさておいて、島の民宿にお世話になり気軽なハイキングスタイルの一行は、標高508mの宮塚山を目指し、急な山道をとっとこ、とっとこと登ること1時間、ようやく宮塚山登山道入り口へ、ここからは足もとの悪い山道になり、それまであった椿の畑ともお別れです。ヤブコキをしながら登ること40分ようやく見晴らしの良い山頂展望台へ着きます。

宮塚山入り口 宮塚山入り口

 この山は今までに何度も訪れているところで、だいたいの様子はわかっています。小さな噴火口のまわりにスダジイが繁り、あちらこちらにセッコクが着生しています。しかし今までは真夏や春休みなどに来ていたため花の写真が無く、ぜひという思いから、なんとこの島で最も観光客が多いと思われる、ゴールデンウイークのまっただ中にやってきました。しかし、観光客は釣り客ばかりで山に向かう人はいません。セッコクの花はというと、読みは大当たり、たくさんのセッコクがきれいな花を咲かせてお出迎え。

開花中のセッコク 開花中のセッコク

 そんな中、比較的低い位置にそれも丁度良い株立ちの物を見つけ、写真を撮ろうと木によじ登りました、カブトムシの様な格好で写真を撮りイザ降りようとしたところ、何と足をかけた直径8cm程で、長さ1.5m位の枯れ木が、突然ボキッ!  足をかけた枯れ木は根本5cm程の所で折れてしまい、私はその上に尻餅をつくような格好でズドン! 約10分位その場で動けなくなってしまうハプニング。足は動かないは!腰は痛いは散々でした。宿へ帰ってから、お尻を見たところ蒙古斑のような直径10cm位の青あざが!!翌日もしびれるような痛みがあり、戦線離脱、千葉へ帰ることとなりました。連休明けに整形外科へ行ったところ、なんと尾てい骨コッセツ、セッコクを撮りにいって負傷していました。その後、この時の古傷にとんでもない痛みがしばしば走る様になり、居ても立っても入られなくなり、肛門科を受診したところ、その時の傷(尻餅をついてお尻の括約筋がつぶれてしまった)から痔瘻がはじまり、どんどん進行していき現在に至っている様で、先日も動けなくなるような痛みが走り、もうどうにもならなくなって、肛門科へ、すると先生のグローブのような大きな指を、グリグリとお尻に入れ、ここ痛いでしょう。膿が溜まって腫れてますよ!すぐ入院して切りましょう!宣言。私は心の準備と、仕事の準備ができていないため一度帰りたいむねを伝え、職場に戻り、喫緊の仕事のみを済ませ、翌日意を決して入院・・・。先生いわく、直腸まで進んだ痔瘻はあまり見ない、よく我慢してたね。と言いながら背中に麻酔を注射し、下半身のみ麻酔の聞いた状態で、解説付きの手術を受けました。そして、夜の病棟の唸り声とお尻の痛みに耐えながらの、入院でした。この原稿を書いているのは退院後3日目、まだ時折鈍痛が来ますが、しばらくは大丈夫とのこと、先生ありがとう。 昔遊んだツケが今になってケツに現れたというお話です。


コラム筆者:小川豊明

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