ドラマチック農業のすすめ [10] 〜日本の未来を創る農園芸育〜
子供たちを育てるために農業を活用する
農業に限ったことではありませんが「バブル崩壊後の日本がずっと停滞」したままで良くならないのはきちんとした考えを持った人を育てなかったことにかなり多くの原因がある」と市の上役に話したのは平成24年のことです。 世の中を支えるしっかりとした考えを持つ人を育てる事をせずに、経済発展による目先の豊かさだけを追い求め、上辺だけを繕おうとする日本の姿を植物に例えると、根のない樹に枝葉を茂らせようとしているようなもので、まず根をつくることをしなければ枝葉も立派に茂らせることはない、ましてやきれいな花を咲かせたくさんの果実を実らせること(つまり日本人の多くがこころから豊かになること)は永遠にないというのが私の考えです。
これを改善するためには、農業に限らず、人が大変だと思う仕事でも楽しくできる力、あるいは苦にせずこなすことのできる力を持つ人を育てることが必要であると考えています。そのためには、子供の頃から「農業や園芸などを体験する」「自然の中で生物たちと触れ合う」など自然を通じてたくさんの事を経験し、小さいうちに多角的な視野を養うことが重要です。
農業に限って言えば、これにより野菜(作物)全体の姿や実る様子、あるいは育て方などを知るだけでなく、それを育てる過程で苦労や喜び、あるいは多くの知恵、そして作る人への思いやりも学ぶことができます。その他、生き物を育てる責任感などこころの成長(道徳教育)にもつながり、おそらく近年社会問題としてよくとりあげられているいじめ等も減らすことができると考えています。 また、収穫した作物をどのように料理したらおいしいかなどの発想力、創造力を養い、作物のもつ本来の味わい、甘味、苦味、かおり、食感などを感覚的に理解することにもつながります。
このようなことから、農業を単に産業としてだけで考えるのではなく、子ども達の教育の一環として上手に活用し、農業や園芸に関わりをもたせることで感覚が養われ、将来様々な分野で日本を支えていく人材になれば喜ばしいことです。子供たちのこころの教育として、農業および園芸を上手に活用することが必要だと感じています。 子供たちの感覚的要素は農業だけでなくスポーツや芸術を通じても育てることができるのは言うまでもありません。
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コラム筆者:山本裕之