見つめ合う瞳!ヒロハノカランとの出会い 文:小川豊明

鹿児島県 下甑島 1980年夏

「私が覗いた甑島」編で書いたあの時の続編、下甑島の鹿島港で下船した私達を待っていたのは、炎天下のひたすら長い細い道。木もなくへろへろピロピロになっていた所に現れた救世主の軽トラック、山仕事のおじさんに助けられ6kmの道のりを進むことができ、下甑島の水源地近くまで送ってもらった時のこと、山からひたひたとしたたり落ちる水と、苔むした岩のあちらこちらに、紫色のイワタバコが咲いていたのが、とても印象的だった。 何気なくふっと前を見ると、白いかたまりが目にとまりました。最初はツルランかと思いましたが、甑島にはツルランは無いと聞いていたので、近くまで行くと、まるで手鞠のようにかたまって咲いているヒロハノカランでした。もちろん初めて見るランで、とても可愛くしばらくその場に座り込んでその花を眺めていました。よく見ると白い花弁に見えていた物が、花の中心部分には、紫色のグラデーションがかかり、中心部分には鮮やかな黄色の突起があり、山の貴婦人のようでした。私は何かに取り憑かれたかのようにじっと見つめていました。 ヒロハノカラン、別名をダルマエビネと言い、舌弁の形がダルマさんに見えなくもないですね。また、甑島にたくさん自生しているオナガエビネとの交雑種、葉が大きく丸いオオダルマと言われる集団もあるとか?

ヒロハノカラン
ヒロハノカラン

初めて見つけた思い出の花 ヒロハノカラン かわいくて可愛くて、じっといつまでも見つめていました。


コラム筆者:小川豊明

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