熱血コオズエビネ大好きのその人は…

かれこれ40年くらい前の話だが、誰かはわからないが上級生が伊豆の島へエビネを取りに行き、島の監視員に捕まってしまったという衝撃的な話が学内の植物好きの間をかけめぐった。 私を含め、当時エビネを探しにたびたび島へでかけていた連中は皆ビビったことだろう。 この話は学内の花好きは全員が知るほどの有名な話で、その後もかなり長い間、伝説として語り継がれていた。

ちょうど5年前のこと。 私の認定農業者の審査のため、県の担当者に付き添って来た上司の林さんという方が、自分もエビネが大好きで、学生時代、研究のため開花期に新島へ行き、山中でニオイ系エビネを探しているうちに、方角がわからなくなってしまい、木に登って大声で騒いでいたところ、島の監視員にみつかり、あえなく御用となってしまった。 すぐに役場から前川先生に連絡がいき、研究の一環として自分の指導の下で行ったことだと説明してくれ、熱心すぎた結果の行為という事でその日のうちに無罪放免となったと、このように話してくれた。 おや、どこかで聞いたことがある話だ。学生時代に噂話として語り継がれていた伝説の先輩は、他でもないこの人、林さんだったのです。

この時、林さんが行った研究はエビネの種類を花粉塊の大きさで分類するという画期的なもので、後に私の同級生の関ちゃんが引き継ぎ、より簡単でわかりやすいエビネの分類方法として進展させ、ニオイエビネ、ジエビネ、その雑種のコウズ系、キリシマエビネなど、伊豆七島に自生するこれらのエビネの分類をする上では欠かせないほど有名な研究となった。 (関ちゃんが卒業論文の控えがどこかにあるとのことなので、この素晴らしい研究についてはまた改めて近いうちに関ちゃんに書いてもらう予定)

余談ですが、先日近くのファミリーレストランで食事をしていた時、向かいのテーブルに家族と楽しそうに食事をしている林さんの姿があり、この話を思い出したので書きました。


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