エビネの栽培 - Q&A
よくあるご質問
A. エビネをはじめランの仲間は、フラスコの中に栄養を加えた無菌の培地に種を播くのが普通です。しかし中々難しく簡単には出来ません。このためもしご自分で種を播くのであれば、鉢で育てているエビネやシンビジウム等、地生ランの鉢内や、庭に生えているエビネの株元にばらまくと、運が良ければ何本かの苗が得られます。時期は、種が完全に熟した11月~12月頃、蒴果がはじけて種が飛ぶ前に採取し、播くのが良いでしょう。
A. 種播きの方法、その後使用する用土、あるいは栽培技術によっても開花までの年数は異なりますが、早いものでは4年程度で初めての花が咲くのが普通です。ただし、これは初めて花が咲くまでの年数であって、鑑賞できるような立派な株に成長するには少なくとも6~7年くらい要します。
A. エビネの古い葉は、緑が生きている状態ならばなるべく取らないのが理想です。ただし全体が茶色くなった古葉や葉の一部が茶色く枯れている葉っぱは、そのままにしておくと病気の発生源となることがあるため、なるべく生きている緑色の部分を残すようにして、茶色く枯れた部分だけを軽く火であぶったハサミで切り取って下さい。ジエビネなどで古い葉があまり長持ちしない種類では、なるべく長い間葉を残し、春、新芽が伸び始める少し前(3月頃)に行うのが良いでしょう。たくさんある場合、ハサミの使いまわしはせず、株元を手で押さえて強く古葉を引き抜くようにして取り除くのが良いでしょう。
A. エビネに限らずラン類には、一度使用した鉢は使わないほうが無難ですが、もし使用する場合は泥や汚れなどをタワシで水洗いし、ハイター等塩素系の漂白剤を100倍程度に薄めたものに2~3日浸漬したあと乾燥させ清潔に保管しておけば病気等の感染を防ぐことができ再利用が可能です。
A. 単に増やすだけならば、真夏を除きいつでも植え替え可能ですが、その後の生育のことを考えるのであれば冬季(1月~3月はじめ頃まで)の新芽の生育がほとんど休止している時期に、極度に凍らせない程度の温度を保てることを条件に行うのが良いでしょう。この時期であればなれない方が株分けをしても芽の痛みは少なく、また、ウイルスに感染する確率も低くなります。
[植え替えと株分け]
[植え替えと株分け]
A. あなたがご覧になった綺麗なエビネはおそらく野生ランのエビネではないでしょう。確かに元々は山にあったものですが、エビネは品種改良が行われるようになってすでに40年以上の年月が経過している園芸種です。そのため、現在のエビネは山にあったものとは咲き方も花色も性質も鑑賞の仕方も全く異なります。昔、山に多く生えていたことから未だに野生ランだというイメージが世間に強く残っていますが、もしご覧になったようなきれいな紫色のエビネを山で探そうとするならば、10年、20年歩き回っても見つからないでしょう。
A. エビネの仲間は日本に20種類程度自生しています。特にエビネの語源となったジエビネ(Calanthe discolor)をはじめ春に咲くエビネは日本でも数種類知られていますが、いずれも地下部にある偽球形(球根)が数年分連なる姿をエビに見立ててエビネ(海老根)という名前がつけられました。ご指摘の通り綺麗な花なのにエビネという和名はなんか野暮ったい名前だと私も思います。しかし、嬉しいことに世界では「Calanthe(カランセ)=美しい花」と呼ばれており、現在ではヨーロッパを中心に大人気です。
A. 丈夫でたくさんの花を立派に咲かせたいのであれば、葉が多少黄ばむ程度のやや明るめの場所、花よりも葉をきれいに作ることを優先に考えるのであれば、やや暗めな場所が良いでしょう。
昔からエビネを育てている人の多くはエビネを東洋ランや古典植物として考えている人が多くいます。このため葉も緑色で極力綺麗にあっさりとした姿で楽しむのが良し、と考えている方がほとんどです。これに対し近年品種改良により作られたエビネはこれとは鑑賞のポイントが違い、赤、紫、オレンジ等、色鮮やかにたくさんの花を豪華に咲かせることを目的として改良され栽培されています。その人の鑑賞のポイントによって日の当て方は異なります。
[日照の条件]
[楽しみ方 (鑑賞方法) の違いにより育て方も全く異なるエビネ]
[日照の条件]
[楽しみ方 (鑑賞方法) の違いにより育て方も全く異なるエビネ]
A. エビネの場合、新芽の中から花芽が伸びはじめてから開花まで通常2週間程度と短いため、咲き始めの頃は茎が柔らかいことが普通です。茎が固くなるまで開花から1週間程度要します。花茎が柔らかい内に鉢を移動させたり回転させた、あるいは極度な水切れをすると、茎が曲がったり咲き方が乱れたりする等、見栄えが悪くなることがよくあります。このためつぼみが出てからはなるべく鉢の移動や回転、乾燥などを避けると花茎が曲がらずにきれいに咲くでしょう。
A. サルメンエビネは冷涼な地に自生するため、東京などの夏期高温になる場所で上手に栽培することは難しいです。自生地でのサルメンエビネは、他のエビネとは異なり、短い夏の間に生長し、雪が降る前には立派な花芽を形成する性質を持っています。このため、夏期高温になる場所では体力を消耗し、翌年の新芽を立派に作ることが難しくなります。夏期に自生地と同様の涼しさを保つことが出来れば立派に育ちます。
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