ドラマチック農業のすすめ [3] 〜夢のなる樹〜

成る程に、楽しい夢のなる樹のご提案

もしもリンゴやミカン、ナシやカキ、モモもブドウもメロンもサクランボも、一本の樹にいろんな実がなったら楽しいと思いませんか ?

これはかれこれ20年くらい前、同じ市内に住むエビネ好きのお宅を訪ねたときのことです。庭に作られたホタル池(この方は市でホタルを飼育する職員でした)の片隅に植えられた一本の柑橘(みかん類)の樹には温州みかんの他にレモン、甘夏、キンカン、グレープフルーツ等、枝ごとに違う種類の果実がなっていました。実はこの方、接ぎ木の名人で、一本の樹に色々な種類の柑橘類を接ぎ木して楽しんでいたのです。

農学部出身の私も、これには感動しました。「成る程、面白い ! いつか自分もやってみたい ! 」こう思いました。ちなみにこの方、残念ですがエビネの栽培はあまり得意ではないようです (笑)。

時は経ち、四年前の初夏のことです。私は停車中、自動車で追突事故に遭ってしまいました。その事故の示談金として、相手方の保険会社は私に百数十万円を提示してきました。これに自分が加入している二つの保険と合わせて約百五十万円が私に入ることとなったのです。

このお金の使い道についてどうしようかを考えた結果、厄払いを兼ねて市で行っている農業振興会議の予算として寄付をしようと思い、その旨を役所に伝えました。夢のなる樹の作成費用他、農業を通じてみんなを笑顔にできるものに使いたい、と思ったのです。

ところが、担当の市の職員が言うには、まず農業など使い道を限定されての寄付は受け取れない、次に役所は単年度予算だから翌年まで持ち越すこともできない。このため、耕運機など形のあるものを買っての寄付ならば受け取れるが、夢のなる樹の寄付については枯らしたときに責任が持てないから無理だなどと、面倒なのか色々な理由をつけて断られました。

そのためここへ無理に寄付をしても死に金にしかならないと判断し、市への寄付はせず、東北地方の復興目的で全てを使いました。 このようないきさつがあったため、構想から4年以上がたった今でも、夢のなる樹は実現していません。

一本の樹に色々の種類の実をならせる夢のなる樹をたくさん育て、学校や公園に植えれば、不思議な樹に、子供たちもビックリする事でしょう。 このことで、植物に興味を抱く子供がでてくればいいな、と思うのです。 他にも、例えば10種類の実をつける梨の樹、色とりどりのリンゴがなる樹、あるいは30種類もの実をならせるみかんの樹など、産地のシンボルツリーにしても、面白いでしょう。以前このコラムで発表した移動果樹園構想で使ってもいいかもしれませんね。私は、どこかの町でそれを実現させてくれる事を願っています。

もっとも、この程度ならば、すでにあちこちにたくさんあるかもしれませんね。

こんな夢の樹あったらいいな 100年後にはできるかな?

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コラム筆者:山本裕之

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