ドラマチック農業のすすめ [4] 〜品種改良のすすめ パート1〜
近年、風や雨、気温、乾燥や日照不足他、様々な気象変化が年々激しくなり、色々な農作物にも影響が出始めています。このままいくと近い将来、日本でもかなりの食糧不足がおこる可能性があります。
この事態に対応する方法として品種改良がありますが、適応可能な品種が出来るまでにはある程度の時間を必要とします。特に懸念されるのは、急速な気温上昇に適応出来る品種の開発が追いつかなくなることです。 このため、今までのように国や県だけに任せるのではなく、市町村や個人レベルでも早急に行うことが必要だと考えています。
あなたにも出来る?品種改良
品種改良は高度な技術と特別な知識が必要、だと思っていませんか?ほとんどの人は自分たちには難しく、到底出来ないことだと思っているのではないでしょうか。 実は、良し悪しを別とすれば新しい品種を作ること自体はそれほど難しいことではありません。発想力や想像力と、高校で習う程度の生物の知識があれば充分です。あとは努力と根気がある人ならば誰でも出来ます。
改良の目的や行う種類にもよりますが、例えば栄養系品種(わかりやすく言うと、主に一つの個体を挿し木で増殖するタイプの品種のこと)は比較的簡単に作ることができます。
実は現在一般に流通している花卉類の多くがこれにあたり、特に私の専門のラン類では、私が開発した30程度の種子系品種を除けば、ほぼ100%が株分けあるいはクローン技術を使い1個体を増殖して作られた栄養系の品種群です。
栄養系の品種であっても、特定の種類だけを専門に育種する方の場合は花色や姿を異にしながらもそれぞれの品種間には統一性があり、それを見れば、高度な技術や長年の経験、そしてきちんとした記録のもとに計画的に作出した品種であることがわかります。
しかし、経験、もしくは過去のデータを持たずに、単に見た目だけで2種類をかけあわせて偶然に出てきた個体を増殖しただけと思われる品種もたくさんあります。このような場合、作品としての統一性や作者の個性が見られることはないため、私たちから見れば違いは一目瞭然です。
生き物はもともと色々な要素を持っているので、何も手を加えなくても外観からは予想出来ないものが偶然出てくることがあります。人為的に見た目が全く違う2つを交雑させればなおさらの事で、それを3~4世代繰り返せば変わった個体が出現する確率はより高いものになります。そのうち何を選択するかは個人の自由であり、本人の感覚次第です。つまり、これならば年月さえあればある程度誰でも出来るということです。
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コラム筆者:山本裕之