近年に多い障害と対策

気象の変化にともない近年多くみられる障害とその対処方法

  • 株に元気がなく葉の色も悪い
  • 見ためが弱々しく大きく育たない
  • 株が年々やせてきてやがては枯れてしまう

など、今まではうまく育てられた花なのに以前のように育たなくなった。

このようなことはありませんか? 栽培経験の長いベテランでさえも理由はわからないけれど、どうも思うように育たない。どう育てたら良いかを教えてくれない? というような問い合わせが増えています。

実際に私の農場でも10年程前から以前とは違う問題が生じはじめ、特に、ここ5~6年くらい前からは今までになかったような障害も現れ、原因の究明と解決するために試行錯誤を繰り返しています。特に、近頃の気象変化は単に激しいだけではなく、短い間に複数の事柄が目まぐるしく変化して起こる事も多く、放っておけばこれらが原因で植物にも大きなダメージを与えてしまいます。

園芸相談などで傷んだ株を見ただけで、何も考えずその原因を判断しすぐに答えている様子を目にすることがあります。しかし私たちが見るとかなり曖昧で本当にそうなの、違うんじゃないの? と思う答えもよくあります。このようなことから人の言うことをそのまま鵜呑みにはせず、参考にする程度にとどめておくことが無難で最終的な判断は、それまでの経緯をよく知っている自分自身でするしかありません。

近年のように気象変化が激しく次から次へといろいろなことが起こる場合、相当な経験がある人でも外見だけで障害の原因を探し出すのは難しい事です。使用している鉢や土の他、育てている種類や地域、あるいは周囲の環境、使用した農薬や肥料の種類やその濃度、その他、現在に至るまでの経緯など、多くの情報を知って初めて原因の特定も可能になります。

そのためには普段からよく観察して記録を付けておくことが大切です。問題が生じた時にこれを見直すことで解決の糸口をみつけることもできます。自分ではどうしてもわからない場合、その記録をもとに正確に伝えてもらえば私たちが原因とその対処法をお教えすることも可能です。

いずれにしても、私たちの今までの経験を大きく越えているため原因の特定がむずかしく、的外れの対応をしてしまい、より大きなダメージを与え枯らしてしまうケースも見受けられます。当園の経験から思い当たる原因とその対処法 (解決法) について解説します。エビネ、ウチョウランだけでなく他の多くの植物に置き換えて栽培の参考にして下さい。

[害虫警報] アブラムシ大量発生警報、発令中!!

蘭裕園では現在、アブラムシに対する警報を発令し、園芸好きの皆様に注意を呼びかけています。

薬剤タンクに飛来したアブラムシ
薬剤タンクに飛来したアブラムシ

2014年10月末、過去に経験したことがないくらい大量の有翅のアブラムシの飛来を確認しています。おそらく千葉だけでなく、かなり広い地域での発生が予測できます。秋~冬に発生する有翅のアブラムシは降雨後の暖かい日に特に多く、空中を飛び回っている姿を目にします。

1日に500匹を超えるアブラムシを捕らえた蜘蛛の巣
1日で500匹を超えるアブラムシを捕らえたクモの巣

ハクサイやキャベツなどは結球時にアブラムシが入り込んでしまうと、調理時に中から大量のアブラムシが出てくることもあるため、家庭菜園などを楽しんでる方は特に注意してください。

アブラムシが大量に寄生すると、吸汁により植物 (作物) の樹勢を衰えさせてしまうだけでなく、ウイルス病などの病気を媒介する可能性があるため、発生前から初期にかけての防除が重要です。作場付近の除草をまめに行い、産卵場所を減らすことで本格的に活動する来春の発生は少なくすることができます。また、キラキラと光るものを嫌うため、アルミホイル等を吊るしておくだけでも飛来数を減らすことができます。すでに大量飛来している場合は薬剤の使用が一番です。

エビネの病害虫の防除

アワチドリの病害虫の防除

風多の影響

2011年春頃からそれまでと比べ強い風の吹く日が多くなったことにお気づきですか? 特に2011年春頃 (4~5月) には、千葉では過去に経験がないほど連日のように強い風が吹きました。

通常、当園では開花中のエビネへの水やりはホースを使い花にかからないように注意し (※)、一鉢ずつ株元へ行います。しかしこの年は毎日吹き荒れる風のため鉢内の乾きが激しく、とうとう水やりが追いつかなくなり、仕方なく自動灌水 (スプリンクラー) で花の上から水かけするという事態に追い込まれました。

2012年はやや落ち付いてきたものの、やはり風の吹く日が多く、以前よりも水やりの回数が増えています。

生育期の強い風は鉢内の乾燥を早め、それに気付かずにいると、水分不足により葉がしなびるなどでその後の生育に悪影響を及ぼす事があるため注意が必要です。また強風により、葉と葉がこすれ合うことで傷ついた部分から病原菌が侵入しやすくなり、特に炭そ病が増加する傾向があるほか、ウイルス病感染の危険性もあるため注意が必要です。

※ 空気が滞る場所で開花中のエビネの花に水をかけると灰色カビ病により黒斑が現れたり、新芽を腐らせることがしばしばあります。また花持ちも悪くなるため、なるべく花にかからないように水やりをするのが普通です、2011年の開花期は何度も頭上からの灌水を行ったにも関わらず、すぐに乾き、花に黒斑が出るなどの問題は起こりませんでした。

対処法

強風や長期間の風多が予測される時は、置き場所を変えるか、あるいは適度な風よけをするなどします。同時にまめに観察し、乾きに合わせての水やりを行います。

春に起こる異常な低温による障害

近年は春期の気温変動 (寒暖の差) が大きく、強い北風を伴う異常な低温により短時間で凍結し、エビネの花や新葉およびウチョウランの生長点などを傷めてしまう事が多くあります。2000年以降に時々おこる現象です。通常エビネは花が凍る程寒い時期に開花することはありません (※)。しかし、近年の春は寒暖の差が大きく関東地方でも屋外のエビネが開花時に限度を越えた低温 (0℃以下) にあい、短時間に黒変してしまうことがまれにあります。

過去に当園でも4月中頃トラックに積んでおいたエビネを夜間に凍結させ、花を含め新芽を傷めてしまったことがあります。

※ 自生地のキリシマエビネはかなり寒いところで開花していることがあります。下向きに咲くことで低温による障害 (霜害) を避けていると考えられます。

対処法

春期の凍結は花をダメにするだけでなく、株にも大きなダメージを与えてしまうため気を付けます。低温が予想される時は凍らない場所に移動するか、ダンボール箱をかぶせるようにして、凍結をさけます。地植えの株では上から新聞紙をかけるだけでも被害は軽減されます。

冬期、異常な低温によりおこる凍結の障害

高温障害
11月中頃の凍結で傷んだ葉

春咲きエビネの多くは冬季の最低温度がマイナス2~3℃程度では葉が少し傷むくらいで生育に支障をきたすことはほとんどありません。このため都市部周辺 (寒い地方は除く) では冬期でも屋外で栽培できるのが普通です。しかし2011年~2012年の冬は蘭裕園農場 (千葉市) でも地表近くに設置してある温度計の最低温度が連日のようにマイナス10℃前後を指し、降り積もった雪が何日も溶けずに毎晩カチカチに凍りついてしまうほどの低温が続きました。

軽い凍結の場合、当初新芽や葉が暗黒色に変色し、その後、何日か経過すると凍結部分は褐色に変わっていきます。活着後の庭植え株では葉身のところどころに淡褐色のかすれ斑、あるいは葉先の枯れ込み等を生じ、冬至芽は葉やつぼみを包む外側部分 (ハカマ) が褐色に傷み見た目が少し悪くなる程度で済むことが多くその後の生育を大きく損なうことはほとんどありません。

これに対し鉢栽培の場合は庭植えの株とは違い外気温の低下により鉢内 (根) の温度も低くなるため極度の低温下では株 (鉢) ごとに凍らせてしまうこともあります。この場合冬至芽 (新芽) が外見上、普通に見えているにもかかわらず、春になっても芽が伸びずそのまま腐りひどい場合には株ごと枯れてしまうこともあります。有機物を使わないもしくは少ない栽培では耐寒性が劣る傾向があるため特に気を付けます。

対処法

厳しい低温が予想される年は冬が来る前に極度に凍らせないように上方からの冷気と雪が避けられる場所へ移動するのが一番ですが、できない場合は北風よけの囲いや冬至芽 (新芽) に落ち葉をかけるなどで極度の凍結が避けられるように心がけます。

疑似凍結
冬期におきる凍結によく似た障害

冬期に極度の乾燥 (植え土)、強光 (葉)、乾風 (葉) による脱水などが原因で葉先に枯れを生じると凍結の障害との区別が難しくなります。

葉先あるいは葉の一部の枯れ程度であれば特に問題はありません。しかし傷んだ葉をそのままにしておくと枯れた部分に発生する灰色かび病や、ナメクジによる食害がおこり花や新芽にまで被害が及ぶことがあります。このため出蕾前にはかるく焼いて滅菌したハサミ等を使いなるべく緑色部分を多く残すようにして枯れた部分だけを切り取るとよいでしょう。

日照不足により起こる障害

エビネは日陰を好む植物だと思っていませんか? 鉢と鉢との間隔を広くとり、明るさをひかえた場所で栽培すると葉は大きくてりっぱになり、更にきれいに作ることもできます。これは主に展示会などへ出品する目的で昔からエビネを育てているベテラン達に多い栽培方法です。

しかし近年は長期間にわたり日照が不足がちな年もあり、このような時に鉢と鉢との間隔が狭く暗めの場所での栽培では、生育に必要な光量が不足し、枯らしてしまうこともよくあります。「今までと同じように育てているはずなのに、年々花付きが悪くなり弱っていく」「葉は濃い緑色をしているけれど葉先からの枯れが止まらず葉の大半が枯れてしまう。」他にも「根の伸長が悪い」などの症状がみられる場合は日照不足の可能性があります。普段から暗めの場所で栽培している場合や、日照量の少ない年には注意が必要です。

対処法

周囲の木々が成長し、以前よりも暗くなっていることはありませんか? またハウスや軒下などでビニルトタンやガラス面が汚れていることはありませんか? よごれたビニールなどは清掃や交換をし、ダイオネットなどで日よけをしている場合はしゃ光率の低いものに張り替えるなどして様子をみます。

もし暗すぎが原因だと判断した場合は、いきなり日当たりの良い明るい場所へ移動すると葉焼けを生じ悪化させてしまうこともあるため、徐々に明るい環境に慣らしていきます。

夏期、異常な高温により起こる障害 - エビネ、アワチドリ、夢ちどり (Calanthe, Ponerorchis) - Ranyuen

近年の夏は単に暑い日が多いというのとは違い高温は長期間、そして最低・最高気温も共に高くなり更に夜間まで続くという植物にとっては過酷な毎日です。特に夜間まで続く高温 (目安として25℃以上) は株の体力を消耗させ生育不良の他、様々な障害を引き起こします。

2012年の夏は私たちが今までに経験したことがないくらいの暑さが続きました。例年ならば夏の間でも北~東方向の風が吹く日も何度かあります。このため暑いとはいっても常に暑いのではなく気温が下がり過ごし易い日も時折あり、植物も人間もひと息つくことができました。しかし今年の7~9月期は今までとはあきらかにちがう異常な暑さが続き、涼しい所へ避難することができない植物にとっては過去に経験がないくらい過酷な年になりました。かわいそうなことにそれに耐えきれず枯れてしまったものも多かったと思います。皆様は気付いていましたか? 今後もこのような時には気を付けてください。

高温が原因でおきる障害は単に葉が枯れる、根が傷む、つぼみが黒変するなど、直接的 (単純) な障害だけではなく、高温が主因で二次的におこることも多く、複雑で原因を特定するのは極めて難しいことも実状です。しかしそれを知る事ができなければ今後も同じことを繰り返すことになります。私たちが暑い (寝苦しい) と感じるような時は植物も同様であることを認識し、せめて夜間はなるべく涼しく過ごせるような思いやりが必要です。

ここでは当園の経験を例にあげ、暑さが原因で起こる障害について記します。

温暖化に伴う発生害虫の変化

近年は温暖化に伴い、発生する害虫の種類や時期、あるいは生息域も今までとはだいぶ違ってきています。例えば有翅のアブラムシの発生時期が今までよりも遅くなり、真冬でも大量飛来が見られたり、高温のためハダニ類の被害の拡大が起きています。またウワバ類やナニセノメイが、カメムシ、ウンカなど、これまでにエビネやアワチドリなどの栽培場ではほとんど見ることがなかった害虫が発生するなどの他、オンシツヒメハダニの生息域の拡大やアザミウマやオンシツコナジラミ等の被害も増える傾向があり、O.F.V.他ウイルス病など今まで特に問題にならなかった地域でも新たな病害虫が引き起こす被害も懸念されます。

対処法

いずれの場合も過去に経験がないために気付くのが遅れたり、あるいは使用する農薬がわからないなどの理由で対処が遅れてしまうと、多くの株に被害を与えることにもなりかねません。今まで以上にまめに観察することが大切です。また被害株の一部を切り取り犯人とともにビニル袋等にとじこめ密閉して、農薬屋さんに見てもらうことで適応薬を聞くのもひとつの方法です。

その他作場周辺の除草も心掛け、害虫のすみ家を減らすことも大切です。

高温により葉や根に現れる直接の障害

ア、高温時、強光が当たることによる葉焼け (直接原因)

展開して間もない頃は、まだ軟らかく淡い緑色をしていた新芽は、徐々に硬くなり濃い緑色へと変わる事で丈夫になり、ある程度の日差しにも耐えられるようになります。その後は、直射日光が長時間当たる場所でなければ、葉は時間をかけて徐々に黄色くなる程度で生育に悪影響を与えるほど焼けて傷むことはまれでした。しかし、近年の夏は異常に暑く、限度を超えた高温によって葉温が上昇したところに強光が当たると、短時間のうちに葉が煮えるようにただれてしまう、あるいは焼け焦げてしまうこともあり、株に多大なダメージを与えてしまうこともよくあります。

梅雨時の晴れ間や梅雨明け直後などには、日差しが強く気温が一気に上昇するときに起きやすくなるため、気象変化の激しい近年の夏は特に注意が必要です。被害が起きてからでは遅いため、あらかじめの想定と、遮光ネットなど事前の準備が必要です。特に室内等で花を楽しんだ株を屋外へ出すときは、いきなり強い光を当てないように気を付けてください。

イ、高温が原因で根に現れる単純(直接的)な障害

高温の為、地下部の成長が止まってしまった

風が弱く乾きが悪い高温時、鉢栽培などで植え土の温度が高温になり、根が蒸れると先端部の生長が止まり、ひどい場合には根全体が腐る、あるいは球根の生長が阻害され休止することがよくあります。ひどい場合には、茎や葉にまで被害がおよび株全体が枯れてしまうこともあります。

鉢栽培等で植え付け後間もなく、根の少ない株や高温が苦手な種類などでは被害が著しくなるため、特に注意します。茎葉の傷みは病気との区別が難しく農薬などを使用し、より悪化させてしまうこともあるので気を付けます。

ウ、高温が直接の原因となり起こる葉先からの枯れ込み

高温障害
高温障害

夏期に今まで元気だった株の葉先から、枯れがはじまり止まらずに進行していく。このような症状が現れた時には、高温障害(単純)の可能性があります。限度を越えた高温(40℃程度)あるいは35℃前後でも、夜間温度が下がらない日が長期間続く場合によく起こります。症状が高温ののちにすぐに現れればわかりやすいのですが、10~20日経過した頃に出ることもあり、また細菌性の病害によく似ているため何が原因なのかがわかりにくくなります。

エ、異常な高温が主な原因となり花芽形成時に起こる障害

エビネは、夏期 (7~8月) に花芽を作り始め、その後、特に問題がなければ徐々に、立派な冬至芽へと生長していきます。

しかし、近年の夏は異常な高温や低温、また日照不足など、花芽分化やその後の生長に悪影響を与える事柄がたて続けに起こります。私の経験では、この時期の不安定な要因により、花芽形成の際に異常が起こり、開花時に花付きが悪いだけでなく、花や葉にカラーブレイク (色素抜け) を生じたり、奇形花が多く咲くなどの障害を引き起こすと考えています。

オ、高温が原因で起こるウチョウラン類の球根の生育障害

2012年の夏は、蘭裕園農場 (千葉市) でも、日中の気温が35℃以上、夕刻でも28℃を下回らない日が毎日続きました。ウチョウランの仲間は、このような高温が続くと自身の体力を維持する事で精一杯となり、新球がうまく育たず充実した良い球根が出来なければ、翌年の上作は望めません。

夏の暑さに強く丈夫に改良されている、夢ちどり・アワチドリでも、さすがにこれほどの猛暑が続くと球根の生育は抑制され、増殖率の低下 (増えが少ない) などがおこります。すでに種としてのウチョウラン (P.graminifolia) の多くは、数年前から当園農場 (千葉市) では、暑さが原因で葉先からの枯れ込みが止まらず、充実した良い球根が出来なくなり、もはや上手に育てることができないのが現状です。

上記の対処方法

初心者は夏前の植え替えは避け、鉢に直接日が当たらないなるべく涼しい場所に置きます。

また水やりは葉温を下げる目的で夜間に葉にもかかるように行います。鉢数が少なければ夜間にジョウロ等に少量の氷を入れ、15℃~20℃くらいに冷やし、葉水としてさっと与えてもよいでしょう。特に暑い作場では扇風機などで穏やかな風を送り、葉からの蒸散を促す事もひとつの方法です。

高温が主因で間接的に起こる障害

A、夏期、乾燥と熱風により起こる立ち枯れ症 (2次的障害)

ウチョウランの仲間は水分が不足すると葉は張りを失い、淡黄緑色あるいは白っぽく退色し、時には異常にテカることもあります。通常はこの時点で、水をたっぷり与えれば、しなびかけた葉には張りが戻り、元のようにシャキっとなるのが普通です。

しかし近年の夏期は高温時、乾燥を伴う熱風が急激に吹くことがあります。このような時、葉からの蒸散に対し根からの吸水が追いつかず、そのしわ寄せが弱い部分に現れ、短時間に花がしおれたり、ひどい場合には脱水により、株元が褐色にくびれて立ち枯れを生じてしまうことがあります。

症状は灰色かび病による立ち枯れ症に似ていますが、ハカマ部分よりもやや上部に表れやすいことと、発生の時期が遅く高温時に限定されて現れることで区別することができます。両者とも、それまで元気だった株に急に現れるため、障害直後では根・葉ともにしっかりしています。病害虫による被害ではないため農薬は効きません。

対策

高温時の乾燥した熱風には気を付けなるべく涼しい場所へ移動するとともに、極度に乾燥させないように気をつけます。

B、主に高温時の農薬使用でおこる障害 (薬害)

農薬散布の後、数日~数十日の間に、葉先や葉が傷むことや、あるいは葉身部分にケロイド状に凹凸を生じることもあり、時には葉のくぼみ部分に褐色や黄色の斑点を生じることもあります。このような場合、農薬や化学肥料による薬害の可能性があります。

農薬散布は高温時 (30℃以上) や、降雨時などで湿度が高く乾きにくい時は、薬害により株 (葉や根) を傷めてしまう可能性があるため、行わないのが普通です。しかし夏期の高温時でも、ハダニ類や輪紋病 (アルタナリア)、炭そ病など、短期間で繁殖する病害虫も多く、すでに発生しているのに何もしなければ、被害の拡大は避けられません。そのため発生を確認した時には、なるべく早期に適切な処置 (農薬の使用など) をし、被害がひろがるのを防ぎます。

しかし近年の夏は、長期間にわたり高温が続き、更に大雨が急に降るなどの現象が起こり、農薬散布に適した日が限られてしまいます。ご自身の休日が好天に恵まれればよいのですが、タイミングがあわないことも多くあります。その場合は、夕方~夜間の、涼しくなる頃に農薬散布を行います。


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