チッキ星のアレゴリー ~ essay ~


果てしない藍の宇宙の中、白い恒星に寄り添った、チッキと呼ばれる小さな星がありました。
チッキには、大勢のヒットという生き物がくらしておりました。
ヒットは、「あれが欲しいよ、これも欲しいよ」と、抱えきれない程のものを手に入れたくて、毎日毎日地べたを這いつくばるようにして、あがいておりました。
その為に、緑の山を崩し、豊かな川の流れをもつぶしました。
そして、大地を固め空気を汚し、海には汚い水を捨てたのです。
自然を壊した事でたくさんの問題が起こり、はじめてヒットは気付きました。
これから先も、今までと同じ事を続けるのならば、いずれチッキでくらす事ができなくなるのでは、と。

それでも「あれが欲しいよ。これも欲しいよ。まだまだ、もっともっと欲しいんだよ。」はやめられません。
このままでは、ヒットも、ヒットが欲しがったものも、ヒット以外の多くの生き物たちも、チッキからすべて消えてしまうかもしれません。
私たちがくらす地球から、まっすぐに一億光年進み、くるりと向きを変えてさらに一億光年。そこに浮かぶ、青い水の惑星チッキ。
そこでくらす、愚かで悲しい生き物ヒットのお話しです。


作   山本ひろし

編・絵 M.Tajima

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