遺伝子の記憶を信じますか?

 生物において外観や性格、その他の形質が遺伝子を通じて祖先から子孫へと伝わる、これは一般に知られている遺伝ですが、私は人においてはこれに限らず、先祖が体験した多くの事柄も遺伝子が記憶をしていて、後々の世代まで伝わるのではないかと考えています。

 例えば、海が好き、ヘビが嫌いなどの本能に近いものや、初めて来た場所なのに何かとても懐かしく感じる、また初めて会った人なのにとても親近感を覚えるなど。これらは単に自分自身の感覚、つまり実際に過去に本人が経験した、あるいは似たような経験による記憶だけではなく、先祖から遺伝子を通じて引き継がれた記憶もかなり多く含まれているものと私は考えています。

 少し詳しく言えば、大むかしに先祖同士が仲良しだった、逆にいがみ合っていた、危ないところを助けてもらったことがある、その他あの家系にはひどい仕打ちをされた等々…何世代も前の先祖の思いや経験した事柄などが、遺伝子に刻まれた記憶として、世代を超えて現在にまで引き継がれているものと思われます。
 そして、遺伝子に組み込まれた先祖の思いが、今を生きる私たちにまで少なからず影響を与え、時には自分の意思とは関係なしに動かされ、良きにせよ悪しきにせよ、色々な出来事が起きて、それがもとで縁(えにし)を築いている可能性もあると考えられます。

 もしも何世代も前の先祖が誰かを苦しめたり、誰かにひどくいじめられたりしたことなどが遺伝子の記憶として残り、それが後々の世代まで伝わり、自分では身に覚えのないトラブルが今になって生じるようなことがあるのならば、それはとても残念です。
 先祖から受け継いだ悪行を記憶した遺伝子を完全になくすことは無理だとしても、自分の世代では良き行動をなるべく多くするように心がけ、たくさんの善を記憶した遺伝子を次世代へとつなぎたいものです。

 いずれにしても、先祖の行ないが遺伝子の記憶となり、子孫へと続くことで家系の縁となりうることを考え、責任を持って行動することが大切だと思います。
 私は自分の経験から、遺伝子の記憶もしくはそれに準じる何かが存在するであろうと考えていますが、「遺伝子の記憶」それを信じる信じないはあなた次第です。


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