農業の未来を創る農高生たち [3] 〜もったい世の中〜
千葉県立清水高 食品科学科 3年 宍倉由貴

私は、スーパーでレジのアルバイトをしています。 午後から出勤し、閉店後には青果、精肉、鮮魚の商品を片します。もう働いて2年になりますが、次の日の朝に廃棄される商品を片していると毎回もったいないと思います。この食べられるのに廃棄される食品を食品ロスといいます。期限切れの商品や、容器の破損、返品の商品など廃棄される商品が毎日後を絶ちません。これは日本の大きな環境問題だと思います。そこで日本はどれぐらい食品ロスが排出されているのか、私なりに調べてみました。日本では、年間約1700万トンの食品廃棄物が排出されていると言われています。このうち、本来食べられるのに廃棄されているもの、いわゆる「食品ロス」は、年間約500~800万トン含まれます。これは世界の食料援助量が約400万トンに比べて約2倍です。私はこれを知り、とても残念な気持ちになりました。私達がこうして生活している間にも、8億5千万人、世界人口の9人に1人が栄養失調になり、飢餓で苦しんでいます。そんな中で、私たちはこれだけの食べられる食品を捨てているのです。

食品の廃棄

しかし、なぜここまで食品ロスはでてしまうのでしょうか?それは、私達の知識と意識の低さが原因だと私は思います。食品ロスが増えている原因は、スーパーや飲食店などの事業者だけではありません。食品ロスの全体の半分は私達消費者の生活で排出されているのです。皆さんの家庭でも賞味期限をしっかり見ていなくて冷蔵庫の中で期限が切れてしまっている食品はありませんか?逆にもうすぐ期限が切れるからと言って使わずに捨ててしまってはいませんか?賞味期限はおいしく食べられる期限であり、すぐに食べられなくなるわけではありません。そのため、期限が切れる前に食品を捨てるのはとてももったいないことです。他にも、レストランなどでの食べ残しも原因の一つです。正直、私も小さいころは付け合せなどに盛り付けてある野菜を残していました。しかし、今になって考えてみるとこういった「少しだけなら残してもいいや」という考え方がこのような食品ロスという環境問題に発展していってしまっているのだなと気づきました。アルバイトや学校での農業体験で食品を作って販売する大変さを知るまでは気づけなかったと思います。

では、どうしたら食品ロスを削減し、改善できるのか?まず、事業者ができること。それは、期限切れの商品、売れ残った惣菜や刺身などの生食、容器破損商品などを減らすことだとアルバイトをしている中で感じました。私が働いているスーパーでは、定期的に賞味期限をチェックし、早い段階での値引きを心掛けています。ですが、多少の期限切れの商品は出てしまいます。そのため、お客様が捨てた野菜の葉屑や期限切れの商品などのゴミを集計して計量しています。そして食品ロスの削減に向けて努力し、集計した生ゴミは養豚場などに送り、飼料としてリサイクルしています。多くの事業者が食品ロスの削減に向けて活動していければと思います。そして私達すべての人が出来ること。特に消費者に多い食品ロスは、期限切れ商品、残飯、過剰除去です。特に過剰除去は、身だけでなく、洗えば食べられる皮を捨てることによって、栄養部分まで捨ててしまう「もったいない」の連鎖だと感じました。それを防ぐために、必要な食材だけを買う、残さず使い切る、消費期限と賞味期限を正しく理解する、この3つが大切だと思います。安いからと買いだめすると、すぐに使わないうちに賞味期限が切れてしまい、捨ててしまうことが増えると思います。賞味期限は、切れたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。自分が使う量を必要に応じて買い、賞味期限をしっかり把握することを心掛けていけば、家庭の食品の廃棄も減るのではないでしょうか。

私の家では、少しでも食品のロスを削減するために、野菜の葉屑や果物の皮をとっておき、他の料理に使って生ごみを減らしています。 ベジブロスと呼ばれる野菜の葉屑から出汁をとってスープなどに利用する料理法は栄養価が高くとても美味しいです。果物の皮はスムージーや砂糖漬けなどにして利用しています。他にも、野菜は泥をしっかり落として皮のまま料理したり、中途半端に余ってしまった食材は他の料理に使ったりしてなるべく使い切るようにしています。そうして少し工夫してみた結果、以前に比べ生ごみの量が約3分の2に減ることがわかりました。食品ロスを減らすことで、節約とエコが同時にでき、今では私の家では当たり前の習慣になるようになりました。ちょっとしたことで、色々なことに活用でき、食品のたくさんの可能性を感じました。ぜひ、多くの人にも生活の中に取り入れていってほしいと思います。

食品を大切に扱う

食品ロスを削減するには、一人一人がこの問題に関心を持ち、意識を高めていくことが大切だと思います。今では多くの事業者が食品ロスの削減にむけて取り組んでいます。食品ロスという環境問題は人間が作り出してしまったことです。私たち消費者側も意識を高め、気を付けていかなければ環境は悪くなる一方です。私一人が気を付けたところでは、日本の危機的状況にあまり変わらないかもしれませんが、多くの人が少しずつ日々の生活の中で改善していけたらなと思います。そうすれば、未来の食品ロスは減っていくのではないでしょうか。食品ロスについて調べてみて、食べ物への大切さを改めて実感することができました。これからもアルバイトでたくさんの食品を扱うなかで、感謝の心を忘れずにしていきたいと思います。「もったいない」という言葉の意味を今一度考えて、これからも自分の身のまわりから食品ロスの削減、リサイクルをしていこうと思います。


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