専門ゆえの落とし穴

 あなたは、専門家が一度ははまってしまう深い落とし穴を知っていますか?

 それは様々な分野において、専門になるほど視野が狭くなり、正しい答えやその本質が見えなくなってしまうというものです。一つのことがらを突き詰めていき、見方や考え方を絞りすぎてしまうと広い角度で物事を見ることができなくなってしまいます。これに気付かないと後戻りができなくなり、良い答えを見つけることが難しくなります。
 真実やみんなが望んでいるものが自分の想定する枠の外側にあったり、場合によっては正反対の方向にある、なんてことも珍しくはないことです。

 この専門になるほど視野が狭くなるという落とし穴は、専門家たちの多くが一度は落ちてしまうもので、いったんはまってしまうと簡単に抜け出すことはできません。なぜなのでしょう。

 各分野において長い経験を持つ方は、周りからは「あの人の言うことは専門だから正しい、あるいは間違いないだろう」と思われ指摘されることも少なく、さらに当の本人も自分は誰よりも詳しいと思い込んでしまいます。そのため、専門家と呼ばれる人には、外部から素晴らしい意見が出されたとしても最初から取り合わない、あるいは最初から理解しようと思うこころさえも持たず、自分の意見だけを通す人も少なくありません。

 専門外の人が言うことにも耳を傾けることができる専門家であれば、自分の視野の外にある良さやヒント、答えだけでなくその他多くの可能性にも気がつくことができます。しかし残念ながら、専門家であるがために一般人の目線で物事を見ることができずに気がつかない人が多い、それが実情です。 自分がその道のスペシャリストだと信じきっている人は、よほどガツンと思い知らされることがない限り、頭上に立ちはだかる分厚い天井をぶち破ることは難しいでしょう。

 自分は専門家だと思いつつも行き詰まっている方がいましたら、ぜひとも部外者、それもまったくの素人の方といろいろな会話をしてみてはいかがでしょうか。もしかしたら目の前にある分厚い壁をぶち破ることができるかもしれません。成功をお祈りします。


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