アワチドリ

~ 花言葉 ~

小さな想い、なごみ、夢かなう、願い

ガラスボールの中のアワチドリ(オランダ フロリアード2012)

アワチドリは、世界中で千葉県の房総半島の一部にのみ自生するランの一種です。野生種のアワチドリは葉の数が多く、花も小さて淡紫紅色のはっきりしない色がほとんどです。 ごく稀に、山でも桃色花や濃紫紅色花、覆輪花、白花などの珍しい花色のものが見つかっていますが、いずれの個体も花が小さく、属名(Ponerorchis=ちいさなランの意)の由来の通り、開花期間が短く寂しいものでした。

今のようにたくさんの花色があり、丸みをおびた花を長い間咲かせるあわちどりは、 蘭裕園の園主自身が考える『かわいい花・理想の花』を目標として 改良を続けてきた結果出来た作品で、山のものよりかなり華やかです。

蘭裕園では、単に売ることを目的として珍しい花色や変わったものを作るのではなく、 見た瞬間、思わず「かわいい!」と手に取りたくなるような、心和ませるようなあわちどりを目指しています。

戯れる妖精”たちが持つ不思議な魅力を感じていただければ幸いです。

千葉で生まれ育った当園の代表にとって、アワチドリはふる里のランという想いから、こだわりをもった品種改良を行っています。

残念なことに、アワチドリと称したニセモノ(雑種)がたくさん流通している中で、当園のものは偽りや間違いのないものでありたいという気持ちから、徹底した記録と管理のもと、経緯を正確に把握しているものだけを交配親に使用し、長年にわたり交配を繰り返し、当園独自の技術で7~8世代(30年)かけて育種してきました。

オランダ フロリアード2012優秀品種受賞

その結果、今のようにバラエティーに富む純粋種が数多くできました。さらにランの育種としては、最先端で他に例がほとんどない種子固定※の品種(「白饅頭」「ジパング」「桃色珊瑚」「紅珊瑚」が農水種苗登録済み)、太陽、宝姫、桃姫、他いろいろの作出にも成功し、園芸種として同一品種を安価で供給できるようになりました。

本物のアワチドリ(雑種でないもの)がほしいという方、ぜひ当園のアワチドリをご指定ください。 ※交配の進んだランでは種まきにより得られた兄弟全てが同じ花になることはありません。ところが、蘭裕園では特殊な育種を行なうことで実生の兄弟全てを同じ花にすることを可能にし、他にはない多くの種子固定の栽培品種を作り上げています。農林水産省登録の種子系の品種は、販売目的の株の増殖や交配親としての使用はできません。

東京ドーム世界らん展2005 紹介記事

  • 種名 : アワチドリ Ponerorchis suzukiana (ラン科)
  • 分布 : 千葉県、房総半島のごく限られた地域
  • 開花期 : 6~7月

アワチドリ保護活動の紹介 アワチドリの現状と種の保護を考える ~「偽り」が及ぼす影響 ~

絶滅の危機

アワチドリは過去の野生ランブームの時、園芸目的で採取され、山にはほとんどなくなってしまいました。幸いにも、フラスコ培養の進歩により、多くの個体が供給され採取に歯止めがかかり、一時は絶滅が免れるかと思われました。しかし、その後、予想もしなかった方向へと進んでしまいました。

フラスコ培養の初期には、種内交配(原種)が中心に行なわれていたため、雑種はほとんど見られませんでした。その後、より変わったものを求めて、サツマチドリやウチョウランとの種間交雑も盛んに行なわれるようになりました。ところが、洋ランのように交雑の過程が明らかにされる事は少なく、一部では雑種であると知りながらも、その中から距の短いものを選び出し、アワチドリと称して流通させてしまいました。これを求めた人たちが再度、交配親に使ったり、展示会に出品するなどで種は混乱し、かなり多くのものが原種と雑種(ニセモノ)との区別がつかなくなってしまいました。

更に、自然保護に対して間違った考えを持った人達が、それらの株やそこから得た種子を継続的に山(自然界)に移入してしまったことで、近い将来、残っていた野生種もこれらとの交雑により、雑種化が進み、絶滅してしまう危険性が高くなってしまいました。このようにしてアワチドリ(原種)は野生種、栽培種ともに今までにない絶滅の危機を迎えています。

正確な記録を残すことで種を守る

アワチドリが絶滅することに危機感を感じて、園芸研究家、山本裕之さんの研究室では計画的に交配をし、純粋なアワチドリを数多く作り出しています。千葉県で生まれ育った山本さんにとって、特にアワチドリはふる里のランという想いが強く、偽ものが氾濫している中で、自分が作り出すアワチドリだけは間違いのないものでありたいと、7~8世代(約30年)にもわたり、交配の記録を残しています。

このような正確な交配の記録は他ではみられず、ラン界では高く評価されています。更に、山本さんはふる里のランを永久に残し、将来は世界に通じる園芸種にまで発展させようという想いから、予算を作り、アワチドリのDNAの解析を外部に依頼することなど、遺伝子レベルでの種の特定も行なっています。

アワチドリ(原種)を絶滅させないための注意点を山本さんに伺いました。  「これ以上、種を混乱させないためにも、純粋種でないものをいかにも純粋種のように偽るのはやめて頂きたい。アワチドリだけでなく、ウチョウラン属の全て、洋種デンドロビュームとの交雑が目立つセッコクなどにも同じ事が言えます。また、これ以上の自然破壊を避けるため、栽培品を山へ返すのは絶対にしないようにお願いします。今後、DNAの解析など、個人レベルで続けるには限界があるため、国や地方自治体による協力と早急の対策を希望します。」

ウチョウランの種類について詳しく解説していますので合わせてご覧ください こちらから

アワチドリの自生地について詳しく解説していますのでこちらもご覧ください こちらから

「アワチドリ撮ったどー! (撮ってもいいけど盗るなよ !)」も合わせてご覧ください こちらから

「濃溝の滝とあわちどり伝説」も合わせてご覧ください こちらから


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